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買えない味 ヨモギパン

新型コロナ感染拡大防止に伴う営業自粛要請に入って

朝から晩まで農園仕事に励む日々。

本来、1年で一番混み合うこの時期なのに

那須高原はとても静か。

あー経済的な心配さえなかったら、本当にサイコーなんだけどなぁー

これ程、農園仕事だけに集中出来るのは修業時代以来

20年ぶりくらいになるかなー

今は沢山のハーブを収穫する事だけを考えて

黙々と農園仕事をすすめる。

が、さすがに疲れも溜まってきたので

今日はお休みにしてゆっくりしようか。

のんびりと朝食を取り

動物たちの世話、ハーブに水をやり

両手にカゴを持って農園に出る。

毎日農園をぐるっとひと回りするのは、この時期必須の日課

それは

大好物のワラビを収穫するためなのだ。

腰をかがめ、地面に目を凝らし、のっしのっしと歩きながら

ワラビを採るのは、宝探しのようでなんとも楽しい。

片方のカゴにはワラビ、そしてもう片方にカゴにはヨモギを摘む。

ワラビ採りとヨモギ摘みは相性のいい作業で

ワラビを見つけるとヨモギが目に入って

ヨモギを摘んでいるとワラビが見つかるのだ。


そう

今日は休日。

でも、結局そんな事をして過ごしてしまう。

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お昼近くになり

パンでも焼こうかなと考えたとき

このヨモギ入れたら春らしくて美味しいのが出来るんじゃないのかなー

と思いついた。

初めてだから上手くいくか?わからないけど。

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柔らかいところを取り

少量の重曹を入れたお湯で茹で、冷水に取ると

実に鮮やかな緑色が発色する。

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刻んでパン生地と一緒に練り、ころんとした形にして焼く。


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ガスオーブンの火力が強くてちょっと焦げちゃったけど

自分用だからまずまず。


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早速、たべちゃおー


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ご常連のお客様に戴いたニホンミツバチの

蜂蜜を付けて、ぱくり。

この蜂蜜はマスカットを思わせる香りがあり

なめらかな食感となんともいえない優しい甘さがある。

こういうの食べられるっていいなぁー

農園を歩くこと、旬のものを摘むこと、それを調理すること

そして食べること。

とても、とても素朴なのだけど

古来よりずーっと、ずーっと人間が行ってきたこの一連の営みを感じて

本当はお金なんかいらないんじゃないか?

と夢見てしまう。

ただ

現実はそうはいかない(泣)

それにしても静かな那須高原。

野鳥のさえずりと風の音しか聞こえない。




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