蓄音機(3、4)



3

何かを分かろうとしてつまづき、
返事を保留して、
走り去った跡がある。
その言葉の遺跡には、

文明になれなかった君の、
美しすぎる醜態が、
読者に勇気を与えていたよ。
たしかあれは花だった。

まだ呼ばれたことのない君の。ありもしない名前。情熱。




4

聞きなれない挨拶に戸惑いながら、
もう何十年も経ったのかな、
あれはたしか朝だった、
きみの言葉がまだ普通だったから。

普通だと美しい、
普通じゃないと、
ま、
それも美しい。
小春の戯言ばかりに価値がある、

音楽のような廃墟だったが、今はもう庭である。巨人。



(了. 詩1ー4)

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