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【あの子とQ】新感覚のヴァンパイアストーリー

私、とにかく吸血鬼が大好きなんです。吸血鬼、ヴァンパイア、ドラキュラ…。世界中で様々な呼び方をされ、親しまれている怪物。

夜しか活動できない、人の血を吸う、にんにくと銀の十字架が苦手、コウモリに化けて空を飛べる…などなどミステリアスな特徴が盛りだくさんの生き物です。

そんな吸血鬼を題材にした物語は、古今東西でたくさん生み出されてきました。特に人間と吸血鬼の悲恋はいつの世も人を魅了してきたのではないでしょうか。

そして先日、未だかつて見たことのない吸血鬼の物語が新たに誕生しました。

その名も「あの子とQ」。

この本に登場する吸血鬼は、なんと血を吸いません。

超情報化社会の今、吸血鬼が人間に交じって生きていくのはかなり難しい。そんな令和の時代に適応するため、吸血鬼は血を吸わず、人間と同じものを食べ、太陽の光を浴びても生きていける体を手に入れました。

一生血を吸わなくてもいい体になるため、17歳になった吸血鬼は「脱・吸血鬼化」の儀式を受けます。ただし、人間の血を一度でも吸ったことがある吸血鬼は儀式を受けることができません。

この物語の主人公は、そんな新時代の吸血鬼として生まれた少女・嵐野弓子。弓子が17歳になる10日前、朝起きるとベッドの上に謎の生き物が浮かんでいました。黒いトゲトゲの化け物は自らを「Q」と名乗り、弓子が17歳になるまでの10日間を監視するのが仕事だと言います。Qは、弓子が人間の血の味を知らないことを証明する証人だったのです。

”吸血鬼=ダークで神秘的”というイメージが根底から覆されるこの物語。ストーリーのテンポのよさにものすごく今っぽさを感じました。

主人公の弓子は人間よりちょっぴり身体能力が優れているだけで、その他は何も変わったところがない普通の女子高生です。たとえ吸血鬼だったとしても、血を吸わずに生きていけるなら何の心配もないのでは…?と思いきや、中盤に急展開が訪れます。

命の危機に陥った弓子が選んだのは禁忌の道。それと同時にどこかに消えてしまったQ。

吸血鬼として許されない道に足を踏み入れてしまった弓子はどうなるのか?そしてQは一体どこに行ってしまったのか?

物語が進むにつれて、Qの秘密と吸血鬼の歴史が明らかになります。最初はQ?何者?と怪しんでいた私でしたが、読み終わる頃にはすっかりQが愛おしくなっていました。

今1番続編を期待している作品です。


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