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実感を得たい
あぁ、今日も、私は、生きている。
生きて、いる。
息を、している。
深夜、三時半。
彼との電話を終えて、希薄な境界線に少しだけでも色の濃い線が浮かび上がる。空気に溶けて、ぼやけた思考が、ほんの少しでも、私を感じられる。
そんなに、話しをしなくてもいい。四時間の電話で何も話さなかったのはどのくらい占めるだろう。無言の間も感じる彼の吐息にそばにいてくれることを実感する。
うん
って、途切れ途切れの会話の中で、返してくれるその声に、ほっとする。
私は生きている。生きているって。
思える。
あぁ、眠い。眠気が、私の体を襲って、どこかにいってしまいそうになる。
私はどこに行くの?
私はどこにいるの?
あぁ、そばに、そばにいて。そばに、いてほしい。
聞こえる、息遣いに、呼吸に、私は、すくってもらえる。
会話の中身より、そのことがすべて。
そのことがすべてだって、私は、そう感じてしまう。
疲弊に目が眩み、弱々しい声色に、耳は言葉を聞き取りきれない。それでも、いい。それでも、いいから。
私を、私をここにつなぎとめて。ここにいる、って、思わせて。ちゃんと、輪郭があるって、私がいるって、感じさせて。
あぁ、また、輪郭が溶けてしまうあいまいな空気に境界線は薄ぼやけて私はどこかに消えてしまう。
そばに、いて。そばに、いて。
ねぇ、私を……。
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