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あなたの瞳に吸いこまれて
それは、祈りのようだった。
白い世界に佇むアナベル・リィの姿をあなたの命と見間違えて、思考も何もかもを失いただただ感情に体を預けていた私の心に、理性を灯した。私はようやく立ち止まって、握りしめた牛乳瓶いっぱいの空を眺めた。白い寛衣を身に纏うた太陽が呼吸をするたびに、藍色の雲を吸いこんでいく。
――まだよ、まだよ
先の二十一年を歩みゆくあなたを追って、そのさみしさに、耐えられるのだろうか。
その約束を、果たせるのだろうか。
……いや、そうではない。
きっと、その約束を果たすことそのものが、あなたの願いなのではない。その差を埋めていくように、精一杯歩むことそのものが、すこやかに過ごしていくことそのものが、望みなのだと、今では思う。
私は、そこから抜け出せなかっただけに違いない。そこに、縛られすぎていた。
あなたは、きっと、待っている。だめだったねぇ、と笑いながら言うだろう。たとえ約束を果たせなかったとしても。だから、恐れず、歩んでみよう。先にあなたが過ごしていた、空白の二十一年を埋めに。
白い太陽が再び瞬いて、あなたの笑みを映し出した。私は、その瞳に吸いこまれ、握りこんだ空の中へ溶けてーー真っ白な眠りへと、誘われて、いった。
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