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お守り

 その子は、今日も泣いていた。

 表面上に涙は見えない。言動もどちらかといえば大人を挑発とする、相手に不快を感じさせてしまうようなものが多い。けれども、心の内では押しつぶされそうなほど不安を感じているのが、ぽろり ぽろり、透けて見えるよう。

 表面上では決して見えない、本当の気持ちや想いがこぼれていて、それをすくってよく見ると、その子それぞれの言葉が隠されている。

 その子には、その子の世界がある。

 我々がまず認めなければいけないのは、それだ。勝手な行動、わがままな姿、そんな表に見える世界ではない。なぜその子がそのような言動に至る、のか。

 ある日、その子がぽろり、と語った想いをつなげようと、お守りを作った。正面にはちょうど彼女の好きな猫の絵が見えるようにし、中には「やすらぎ」という言葉を入れた。

「お守りが、見守ってくれている。握っていると、がんばれる」

 たどたどしくも、儚さの残る響きはどこにでもいる少女の姿で、私も思わず、笑みがこぼれる。

 不安なとき、自分の世界が侵されたとき、安心できるよりどころがとれほど大事なものか。お守りを握る彼女のあどけない姿を見て、心で、納得することができた。

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ふみ
いつも、ありがとうございます。 何か少しでも、感じるものがありましたら幸いです。