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その光景を見たとき――いや、違うか。その光景をあえて、見ようとはしていなかった。それで…
なんで、誰も私のことを認めてくれないの? そう言って涙を流す友人は、小さな子供のよう…
あぁ、気がつけば、また、ここにいる。 薄らいでいく意識がかろうじて見せる、安らぎの場…
あれからもう、四年経つ。姉のいなくなったあの日から、もう。しみじみとそんなことを思いな…
「さぁ、行きましょうか」 姉はそう言うと、涼しげな顔で外に出た。汗を拭う。私は空を見上…
「雨がすごいわねぇ」 窓に指を滑らせる所作に何とも言えないなまめかしさを感じながらその…
「ねぇ、容子は幽霊がいるって信じてる?」 唐突に姉はそんなことを聞いてきた。何の前触れもなく、本当に突然。それまで何を話していたかなんて関係なく、ただその場にあるだけのよう。姉はいつもそうやって話しかけてくる。まるで突風のようだ、避けようもない。 頭の中では、通り過ぎた姉の言葉を追いかけるように、再び声が聞こえてくる。改めて聞こえた質問の意図がわからず、立ち止まる。ひとまず避けようもない風を身に受けながら、その流れを見つめてみた。どこに向かっていくのか、辿っていけるの
【あらすじ】 #オールカテゴリ部門 あのころ、私は中学生だった。 当時は、何もかも不…
心にひとつ、しまっておけるものがあるとしたら、何がいい? そんなことを問われて、答え…
今、ここで、何を求められているのか。 それを見失いかける。 そんなことを気にする必…
いつも大変なところに送られてしまう。 そんな言葉を聞いたとき、あぁ、私はきっとこの人…
相変わらず、不気味に思える。 いつ見ても、どう見ても、変わらない。 ため息も、もうこ…
息を吸うと、肺が焼けそうになる。 息を吐くと、臓腑が出そうになる。 どこへ どこま…
春を通り越して夏のような日差しに辟易しながら、無理やり遠出した買いものが終わる。汗だくになりながら帰宅し、全裸になりたい気持ちをぐっとこらえて さっと シャワーを浴びて着替える。それでも暑さはぬぐえない。 まだまだ夜まで長いと感じられているが、ようやく夕暮れの涼やかな風が窓から部屋に通り抜けて、裸への欲は消え去ったように、感じられた。 静けさとは無縁な強風がその存在を知らしめて、それ以外、何も音がないことに、やはり静寂を覚える。 まわりに、民家はあれど、人通りの少