「育てる」だなんて、ちょっとおこがましくないだろうか。
先日、部長から、こう聞かれた。
「なさじさんのとこって、"人材育成計画" どうなってる?」
人材育成計画?
なんという気持ちの悪い言葉だろうか。鳥肌が立った。
「あとで、別の課の資料のリンク送っとくから、見てみて」と言われ、その会話はひとまず終わった。
資料を見てみると、社員ごとの年齢とか階級とか在籍年数とか就業先とか担当義務なんかが載っているのだけど、その社員ごとに、そこの課長さんが一人ひとり「強化すべきポイント」なんて書いちゃって、その社員に受けさせた方がいいと思う社内研修なんかが割り当てられちゃってたりする。
何様だろうかと思った。
この資料を開くたびに、「うわっ、きもっ」って私は毎回、口に出して言ってしまう。
どうしてこんなに不快感がこみ上げるのだろうか。
まず、この作成した課長さんが、社員を向いていないという点。この表は、課長さんの上司である部長に向いているようにしか見えない。「自分はこんなにも詳細な管理表を作ってみんなの育成を促進しているのですよ、部長」って書いてあるように見える。私がよくnoteでも書いている「どっち向いてんだか」である。
あと、不快感の大きな理由はこれだ。
「育成」って書いてある点。そもそも「育成」なんて書いてる時点で、違和感と不快感と嫌悪感がこみ上げる。「育成」ってなんなんだろうか?新入社員ならまだしも、ベテランを含め、配下の全社員が、その表には載っている。おこがましい。思い上がりもはなはだしい。何様だ。
「社員一人一人のスキルが上がっていくこと」、「出来ることが増えていくこと」に対して、無理やり、手柄を一部横取りしているように映る。「この成長は私のおかげでもある」みたいなね。経験上、課長が持っていて、社員が持っていないものがあるなら、アピールなどせずに、こっそり渡してしまえばいい。それで出来ることが増えたら、手柄は全部社員に渡せばいい。お前は黙ってろ、って思う。
と、いうことで、「なさじさんのとこって、人材育成計画どうなってる?」に対しては「作成中です」と言いつつ、個人個人の「希望する職種」が載っていて、「そのために必要なアクション」がわかる表にしようと思っている。「本人の希望とその道筋を明確にする。そのためのアドバイスをする。」せいぜい出来ることなんて、そのぐらいだろう。みんなプロだし、自分で考えられる。
そうそう、そういう意味では、実は、私「子育て」って言葉にも少し違和感をおぼえる。感覚としては「子支え」ぐらいがしっくりくるかなぁ。