案外悪くない、私の嫌い
私はイエベ秋だから青色の服は似合わないと、ずっと思っていた。
これしか似合わないと決めつけた服で溢れる私のクローゼットは暗い服ばかりが集まった。
母が私に似合うはずだと買ってくれた青色の服。
買ってきてくれたのに一度も着ないなんて悪いよな、と思って渋々着た青い服は予想外に似合ていて、新鮮な気持ちになった。
私は昔から夏が嫌いだ。夏はどうも陽キャの季節な気がして、夏に私の居場所はないように感じていた。
加えて、汗をかくのも気持ち悪くて嫌いだ。
けれど、夏になると毎回私は空を見上げて、夏の空に感動する。こんなに綺麗な空を見せてくれるのは夏だけだろう。
セミだって嫌いだけど、窓から聞こえるセミの声は何故か心地よく聞こえセミの声が夏を盛り上げていると思えてしまう。
「夏が嫌い」という言葉で夏の全てを否定していたけれど、好きなところだって沢山あるのだから、嫌いの一括りに全てをまとめてしまうのはガサツだったのかもしれない。
いつのまにか凝り固まった自分がいて、新しい物や思考を拒否して決めつけていたのかもしれない。自分で自分のことを決めつけてがんじがらめだったのかもしれない。
私が嫌がっている物が実はそんなこともないなんてことが沢山あって、生きにくい世の中も私の決めつけで狭くなってしまっただけなのかもしれない。