
人生で一番大きな買い物!?住宅にまつわる税制
2025年も早いもので、3ヶ月が経ち、年度末を迎えました。
令和6年度も残り1ヶ月となり、4月からは新しい年度が始まります。新たに新入社員が加わるなど、様々な体制や環境も大きく変わる時期です。
住宅を購入する際に話題になる「住宅ローン減税(控除)」についても、4月から注意すべき点があります。今回は、その変更点についてご紹介いたします。
『住宅ローン減税(控除)』の概要
正式には『住宅借入金等特別控除』と呼ばれ、住宅を建てる際に金融機関から10年以上の期間で返済するローン(借入金)を組む場合、年末時点のローン残高の0.7%を所得税から減額(控除)できる仕組みです。
適用を開始する初年度は確定申告が必要ですが、長期間にわたり税額を直接減らせる仕組みとなるため、住宅のために借入をする際にはぜひ考慮したい税制です。
新築住宅だけでなく、買取再販住宅や中古住宅、大規模なリフォームでも、一定の要件に該当すれば対象となる場合があります。
2024年6月までは省エネ基準に適合していない住宅も対象となりましたが、現在は原則として、省エネ基準に適合した住宅のみこの税制を利用できるようになっています。
また、住宅の要件だけでなく、住み始める時期や適用を受ける年の個人の所得金額などにも要件があります。
4月以降に住宅を着手・着工する場合の注意点!
令和7年4月以降に着工するすべての建物は原則として、省エネ基準に適合する義務があります。
この基準は「建物全体で消費するエネルギー量」や「断熱の性能」を数値化して判定されるもので、適合しない場合、『建築確認済証』や『建物検査済証』が交付されません。
『建築確認済証』が交付されないと着工ができず、さらに建物によっては特定行政庁(都道府県または市町村)が定めた中間検査もあるため、工事が途中で頓挫することもあります。
工事が完了しても、『建物検査済証』が交付されないと住宅への入居ができません。

着工や入居が遅れてしまうと、住宅ローン減税(控除)を受けるための手続きの期限が短くなり、合わせて考慮すべき特例も要件に合わず、適用できない可能性があります。
また、建築士の設計段階から省エネ基準に該当するかを意識する必要があり、これまで義務化されていなかった時期に比べて、建築費用が増加する可能性もあります。
この省エネ基準を設ける取り組みは、建築物の省エネ性能の向上を図り、地球温暖化対策の削減目標を達成するために、令和3年10月から始まったものです。
今回の令和7年4月からの省エネ基準適合の義務化範囲の拡大は、これから住宅を建てようとする方々への影響が特に大きいです。
合わせて考慮できる『住宅取得資金の贈与の特例』!
建築費用の上昇が予想されますが、一生に一度の買い物なので、建物に対する妥協はなるべく避けたいと思うのが人の情。このような時に選択肢として挙がるのが、ご家族からの支援かと思います。
省エネ住宅を建てる際、父母や祖父母などの直系尊属から資金の贈与を受けた場合、最大1,000万円まで贈与税が非課税となります。贈与税の特例を利用するためには、贈与税の確定申告が必要です。
こちらにも贈与を受ける方に一定の要件(年齢や所得金額など)があり、特に入居時期の要件については注意が必要です。原則、贈与を受けた年の翌年3月15日までにその住居に居住することが要件です。
住宅ローン減税(控除)は適用できたが、住宅取得資金の贈与の特例は時期が合わず適用できず、贈与税がかかる通常の贈与となってしまったということにならないよう、スケジュールには十分に余裕を持って施工会社との打ち合わせに臨むのが良いでしょう。
上記のように、いくつかの細かい要件がありますので、住宅を建てる予定の方は、ぜひ弊社担当者までご相談いただければと思います。
執筆担当
財務コンサルタント事業部 和田尚樹