パプテマス・シロッコのマネジメントとMBO目標設定をドラッカーの基本と原則に照らし合わせてみる
年末の時間を利用して、『機動戦士Zガンダム』をイッキ見した。
物語に登場するキャラクターは、誰もが個性的だ。
10年くらい前に一度観た記憶があるが、いまの状況に照らし合わせて観てみると、当時とは異なる印象なのが面白い。
軍という組織内で、上官から下士官へ「修正」が行われる。
作中で、頬を叩かれた回数をカウントすると、数十回はいっているはずだ。
特に印象に残っているのが、パプテマス・シロッコである。
戦艦ジュピトリスの指揮、新型モビルスーツの開発、パイロットとして戦闘活動への参加、部下へのマネジメント、トップマネジメントへの交渉、役割が多岐にわたる天才だ。
その中でも、彼の人たらし力には目を見張るものがあった。
ハラスメント蔓延る軍組織のなかで、男も、女も同年代も年下も、とにかく彼の思う動きをするようになっていく。
これを、ドラッカーのマネジメントと照らしてみると、どうなるのだろうか?という思考実験をしてみることとする。
ドラッカーのマネジメントの3つの役割
ドラッカーによると、マネジメントというのは次の3つの役割を持つものである。
これをシロッコに当てはめて考えてみる。
なお、本編のネタバレを含むので注意されたい。
① 目的を果たす
シロッコが所属する『ティターンズ』は「ジオン残党軍の掃討」という目的と、創設者であるジャミトフの理念を理解しているように見える。それは「21話 ゼータの鼓動」でのジェリドとマウアーとの会話からも読み取れる。
MBOの目標管理の観点で、整理すると、こうなる。
シロッコのMBO 目標管理
当人の中で目標のブレイクダウンができているように見える
目標達成のため、手段を問わない男である。
たとえば、
・上官であるジャミトフを混乱に乗じて暗殺し、ハマーンのせいに押し付ける
・上官であるバスクのドゴス・ギアを、レコアのパラス・アテネに撃沈させる
といった身内すらに手にかけるといったこともやる。
①に対する評価としては、〇といっても良いだろう。
② 働く人を活かす
この部分で、ハチャメチャ才能を発揮しているように見える。
彼の目には当人たちが何を求めているかがわかり、その上で、個人の動機と組織の目的をうまく結びつけている。
というのも、マネジメントはドラッカーによれば、下記が求められるからだ。
彼の配下がどんな成果を上げたかを見ていきたい。
ヤザン・ゲーブルへのマネジメント
求めるもの:命がけの戦闘、バトルジャンキー
マネジメントのアプローチ:信頼し、まずは任せる
生産的な仕事:MSによる戦闘活動
成果:ジャマイカンの誅殺、Gディフェンサー、ラーディッシュの撃破
ジェリド・メサへのマネジメント
求めるもの:カミーユという、壁への執着
マネジメントのアプローチ:失敗を責めず、次の機会を与える
生産的な仕事:新型MSによる出撃
成果:アポリー中尉のリックディアスの撃破
サラ・ザビアロフへのマネジメント
求めるもの:敬愛するパプティマス様に認められたい
マネジメントのアプローチ:ビジョンを語り、ロマンティックなボディタッチコミュニケーションと、ねぎらい
生産的な仕事:MSによる戦闘活動。アーガマに潜入し、撹乱。フォン・ブラウンで破壊工作
成果:パプティマス様を、庇う
レコア・ロンドへのマネジメント
求めるもの:「女」として扱われたい
マネジメントのアプローチ:女として扱い、引きのアプローチ
生産的な仕事:MSによる戦闘活動。コロニーへの毒ガス作戦の決行
成果:エマ・シーンのMk.Ⅱと相討ち、寝返りによるアーガマクルーへの精神的動揺
言葉巧みに、自分の望む方向へ誘導していっているのがわかる。
②に対しての評価は、〇といっても良い。
③ 社会の問題を解決する
宇宙世紀で起きている社会問題とは、
・増えすぎた人口問題
・食糧問題
・エネルギー問題
などが挙げられる。
最終的には道半ばで倒れてしまったことから、
③への評価は×と言えるだろう。
まとめ
歴史の名著×名作アニメで考えてみるのは、思考的に面白い実験だった。
シロッコのマネジメント
・目的を持ち、またその達成のための中間アクションプランを実行できている(MBO設定力)
・一方で、上官を手にかけるなど、ボス・マネジメントには課題がある
・人のニーズを理解し、心を動かすことに長けている(人心掌握力)
・社会問題は解決しきれなかった
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