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「商売人」が少なくなった今
先日、私は少し早めの昼食をラーメン屋さんで済ませていました。
店を出る頃には客足も増えてこれから忙しくなりそうな時です。そこに一人の若い営業マンらしい男性が入店してきて、店の奥さんらしい人にパンフレットを渡し少し早口で何かを伝えています。
保険か何かのことらしいがよく聞こえません。
案の定、受け取りを拒否され店を出て行きました。
なんとなくこの状況、変に感じませんでしたか。
そうです。不愉快極まりない。
ひょっとして、こういう人は世間に多く存在するのではないかと眉をひそめてしまいました。
では、何が問題だったのでしょうか。
まず、セールスに来る時間をわきまえていません。業界によって忙しい時間、暇な時間はまちまちですが、常識的に考えてラーメン屋は昼が忙しい。そう思うからこそ私は客であるにもかかわらず、昼のピーク前に食事を済ませたのです。お店のことを忖度してですね。
ところがこの営業マンはこれから忙しくなるピーク前にパンフレットを渡しに来る。渡して帰るだけだったにしても心象はかなり悪い。
次に、何かを伝えようとしている。パンフレットを渡すのみならず会話は避けなければなりません。
そして、そのまま帰る。
私ならせめて食事くらいして帰ります。
このことから、あらためて今の日本人って「商売人」が少なくなってしまったのかなって寂しく思いました。
こんなことを書けば、あんたは古い!と太鼓判を押されそうですが、あえて書きますと、
古来から、お店に部外者や出入り業者が入るときは、お店の勝手口から入ります。
正面玄関はお客様が出入りする所なのです。
先ほども例を出しましたが、用があっても多忙時は避けます。これは常識ですね。
集金の際は、午後からお店に伺います。商売人は、午前中にお金が出るのを嫌がるからです。なぜなら、これから稼ぐ時間に入るからです。稼ぐ前にお金を取られたら気分が悪いですよね。
飲食店に営業で何かを売りに行くのであれば、せめてそのお店で食事くらいはしてあげませんか。
「あの売り子は買え買えっていうくせに、ちっともウチで食っていかねえや」とはよく聞くセリフです。
物を売っているお店なら何か買って顔つなぎしてから営業をかけるのが正しい順番です。お店の人の立場になってみるとわかると思います。
それから月初(1日)は商売人は忙しいです。正月元旦に初詣に行くのと同じで、毎月1日は「おついたち」と言って、神社仏閣に商売繁盛の願掛けに行きます。
また、「五十日(ごとうび)」は月のうち、五と十が付く日は支払いが多い日なのでやはり忙しいです。
しかしながら、このような古風な習わしも事も徐々に少なくなっては来ています。
昔から店舗と言えば、のれんを掛け、玄関前にはお客様をお迎えする打ち水を撒いていましたが、今ではほとんど見られないじゃないですか。
現代はだんだん仕事が効率化されてきているのでムダなものは省くことが美徳になってきていますが、損得勘定だけでビジネスをするのも寂しいことです。
「損して得とれ」という言葉があります。
つまり、最初は損をしたと思うことでも、後々、利が還ってくるものだとしています。
これは心理学用語で返報性と言われるもので、最初に物を与えたりサービスを無償で行ったりしていたら、相手がそこに好意を感じてお返しをしてくれるというものです。
先ほどのラーメン屋さんの一件では、くだんの営業マンが昼のピークをずらして食事に来店し、落ち着いた頃を見計らって店主にパンフレットを渡したならどうなっていたでしょうか。
同じ行為をするのであれば、効果のある行動を取るべきなのです。
相手の商売というものをないがしろにしては、自分の商売もうまくいきません。
日本には「富山のくすり売り」や「近江商人」など今日の商売の元となる商売人の見本があります。
この近江商人のことを描いた「てんびんの詩(うた)」というビジネス教育にも使われる大変勉強になるDVDがあります。まだ見ていないなら一度見ておくことをおすすめします。
時代は移り変わっても、忘れてはならない商売人の魂はこれからも失わないようにしたいですね。
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