読んだ本 2023年12月号 5冊
ビジネス書を4冊、技術書を1冊読んだ。
会社はだれのものか
★★★★☆
機械製工場を利益の源泉とする資本主義である産業資本主義の時代が終わり、差異性が価値を生む時代になったことでヒトの価値が上がったという主張を軸にして、M&AやCorporate Social Responsibility(CSR) の議論と共に会社の社会的な存在意義について論じている。
本書は第一部と第二部に分かれていて、分量はそれぞれ本文のおよそ半分を占めている。第二部は対談の書き起こしになっていて、著者の主張を知るには前半で十分である。
12/17
不格好経営
★★★★★
DeNA創業者の目線から経営について書かれたエッセイ寄りのビジネス書。
冒頭に
とあるように、本書に書かれたすべての話題と人との関わりが著者の体験から引き出されたものだということが文章からありありと伝わる。経営者のエッセイとして読む人に活力を与える類の本だと感じた。
12/18
H.265/HEVC教科書
★★★★☆
H.265/HEVC に関する組織構成や歴史、技術的な概要を知ることができる。過去の規格や技術の進歩を知ることができることにも価値がある。
本書はアナログ信号をデジタル信号に変換するための基礎的な解説から始まっているて、本文の前半で歴史的な背景を含めて H.265/HEVC の全体像を掴むことができる。
一方で、独自で実装をするためには技術的な詳細を読み込んで他の文献にもあたる必要性があるだろうが、H.265/HEVC に含まれる技術的な内容の量を考えると致し方ないだろうと思う。本書は座学に特化しているので、実際に技術や実装に触れられる環境を用意しつつ読むのがいいのかもしれない。
歴史的な背景だけでなく、過去の規格の技術的な詳細についても知る必要があるので、機会があれば触れていきたい。
12/23
決定版 V字回復の経営
★★★★★
上場企業が『死の谷』から脱出するのを手伝う著者が、コマツ(本書では太陽産業)の業績を見事にV字回復させた際の顛末がストーリー仕立てで書かれている。本書に書かれている内容を真似することは相当難しいだろうが、経営に対する一つのアプローチとしては非常に勉強になる。
著者は戦略だけでなく、組織の問題に切り込むことが必要と説く。
本書のストーリーは、著者が「成功9つのステップ」と呼ぶパターンに沿って展開されている。加えて、多くの企業に当てはまるような傾向が話の中に現れた場合にはtips形式で観点を紹介し、関連する場所で当事者のインタビューを挟み、経営ノートという形で著者のフレームワークなどを紹介しながら進む。理解を促進するよく考えられた構成になっている。
著者の他の書籍「戦略プロフェッショナル」「ザ・会社改造」なども読んでみたい。
12/23
よき経営者の姿
★★★★☆
経営学者である著者が「よき経営者」に共通する特徴を挙げている。感覚的な表現も多いが、内容は共感でき、志をもつきっかけとしておすすめできる。
経営に関する著者の書籍にあたってから再び読めば、より深みを持って読めるだろう。
本書は6つの章から構成される。
はじめの章は「顔つき」である。これは著者の経験や記憶にかなり依存した表現だが、そう感じるに至った背景の記述には示唆に富むものがある。
続く「仕事」「資質」「育ち方」も同じように好ましい経営者の傾向や性質について語られている。しばらく期間が経った後に自身を振り返って読み返してみたいと思える内容になっている。
各章は著者の記憶の中にある立派な経営者のイメージを浮かべながらその共通点を書かれたものなのだろうが、もっと具体的な話を交えながらの説明になっていると共感を超えた理解まで至れるかもしれないと感じた。
12/29
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