読んだ本 2023年 年末年始特別号 4冊

技術書を1冊、会計に関する本を2冊、面接に関する本を1冊読んだ。


ハンズオンWebAssembly

★★★★★
WebAssemblyの概要の説明からはじまり、Emscripten(emcc)によるコンパイルとwasmとJSとの連携、テキスト形式による神経衰弱ゲームの作成まで、WebAssemblyを試しに体験するにはよかった。

写経しながら進めたが、ハンズオンと名がつく通り、本書の記述に従ってコードを記述しビルドして確認していけば、各章ごとに綺麗に成果物が出来上がる(12章の神経衰弱ゲームの作成でのみ画像とcssをウェブからとってくる必要がある)。章の順番はよく考えられていて、前の章の成果物を流用するなどして応用の幅を広げていく工夫が伝わる。

先日「入門WebAssembly」を読んで、こちらはテキスト形式の説明が大半だった。「ハンズオンWebAssembly」の方がカバーする範囲は広く、C++、JS、wat、HTMLなど複数の言語を用いている割にはコードも綺麗で読みやすい。

WebAssemblyについてより調べてみようと思えるいい本だった。

注意点
・emcc 3.1.28 では -s オプションの指定方法が本書の記述と異なっていた。-s "EXPORTED_FUNCTIONS=['_putchar','_main']" のような形式ではなく -sEXPORTED_FUNCTIONS=_putchar,_main のように書く。
1/2

基本も実務知識もこれ1冊で! 管理会計本格入門

★★☆☆☆
冒頭の制度会計と管理会計の違いの説明はわかりやすかった。財務諸表の内容について知るなら「財務諸表を読む技術わかる技術」の方がよい。

製造業を想定した簡単な例に沿った説明がされている。最小二乗法による直線近似でΣを分解して手計算をして、手法の短所を「計算が困難である」としている。

分野と領域によっては役に立つ内容なのだろうが、本書の内容と個人的に置かれた環境、経験とのミスマッチがあった。
1/2

稲盛和夫の実学 (日本経済新聞出版)

★★★★☆
「財務諸表を読む技術わかる技術」でキャッシュフロー経営の本だと紹介されていたので読んだ。

普段関わっている業界と違うのですべての話に実感を持って読めた訳ではないが、従来のやり方にとらわれずにどういう仕組みが必要なのかを考え、利益を大きくし人に罪を背負わせないための原則に厳密に従う姿勢がよく伝わった。
1/2

経営×人材の超プロが教える 人を選ぶ技術

★★★☆☆
意見ではなく実際にとった行動にフォーカスする、劣等感がソース・オブ・エナジーに繋がる、面接の空気づくり、EVILな人についてなど共感できる部分は多い。

Egon Zehnder は「リーダーシップによって、人、組織、そして世界を変えることを目標とする、世界的な企業統治・経営人材コンサルティング・ファーム」と自称している(https://www.egonzehnder.com/jp/si-tatinituite)。
ハーバード・ビジネス・レビュー 2018年2月号 の冒頭にある Egon Zehnder の記事を読むと、リーダー育成や抜擢に課題のある企業に対して、8つのコンピテンシー(行動特性)と4つの潜在能力の相関を調査した上で、適切な成長機会を与えた際にコンピテンシーが求める基準に達するのはどちらの候補者か、といった内容が書かれている。
好奇心は8つのコンピテンシーすべてに大きな相関があったという研究結果が記載されており、これは本書の図と一致するし、日本がワイルドな採用ができないという話は各国の相関関係を比較した際に日本の傾向がずれていることを言っているのかも知れない。

Egon Zehnder がリーダー層の特性について調査をして溜められた知見のことを本書の冒頭で「F1」と称しているのだと理解したが、そうすると本書はその知見からリーダー層でない人にも適用できるであろう要素を抜き出してまとめられた本なのだろう。(なのだろうというか冒頭にそのままそう書かれている気もするが、Egon Zehnder の記事を読むまでよく理解ができなかった)
そう捉えると、主観的な意見が本書に散見されるのも納得がいく。
1/3

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