読んだ本 2024年10月号 5冊


★★★☆☆ / 再帰的近代化

「再帰的近代化」という概念は、...《省察》ではなく、(まず何よりも)《自己との対決》を暗に意味している。...工業社会からリスク社会への自立した、望まれていないし、誰も気づかない移行を、(《省察》と区別し、また対照させるために)《再帰性》と呼ぶことにしたい。

リスク社会の自己批判

前提知識が足りないので、共感しながら読み進めることができない。理論として読めばいいのか作品として読めばいいのかがわからなかった。

★★★☆☆ / 「答えのないゲーム」を楽しむ 思考技術

★★★★☆ / 問いのデザイン 創造的対話のファシリテーション

ワークショップ、とくに第三者によって開催されるワークショップのデザインについて書かれている。「問い」や「ファシリテーション」についての記述も、やはりワークショップを想定している。

問いの定義
人々が創造的対話を通して認識と関係性を編み直すための媒体

基本サイクルとデザイン手順

本書で扱う「問いのデザイン」は、これまで見てきた「質問」や「発問」とは決定的に異なる点があります。それは、ワークショップにおいて、問いを投げかけるファシリテーターも、それに答えるかたちで対話を進行する参加者も、対話に取り組む時点では「誰も答えを知らない」という点です。

基本サイクルとデザイン手順

本書で扱う問いは「問う側も問われる側も答えを知らない」という前提に基づいている。問う側が答えを知らないことが共通の認識としてあり、それが許容される環境は通常業務ではあまりないし、そういう意味で特殊な状況でのみ成立する記述である。
表題から私が期待したことは一般的な問いの立て方やファシリテーションについてだったり、業務で繰り返し頻繁に使用されるプロセスについての記述だったので、表題からミスリーディングを感じた。

本書の中でブレインストーミングに対する一般的な印象や問題点が書かれているものの、対策については抽象的な記述があるのみなので、理解のためには紹介されている参考資料を参照する必要がありそうである。

参加者全員が投げかけられた問いについて「考えを深められる関係」を自覚できてさえいれば、ブレインストーミングは今でも十分に通用するイノベーション思考法の強力なツールであるとしています。

ワークショップデザインにおける問いの重要性

最終章では6つの実際のプロジェクトの例が紹介されている。

・組織ビジョンの社員への浸透:資生堂
・オフィス家具のイノベーション:インスメタル
・三浦半島の観光コンセプトの再定義:京浜急行電鉄
・生徒と先生で考える理想の授業づくり:関西の中高生とナレッジキャピタル
・ノーベル平和賞受賞者と高校生の対話の場づくり:京都の公立高校生とインパクトハブ京都
・博物館での問いの展示:京都大学総合博物館

本書からの学びを適用する際には、扱う課題と上記のプロジェクトに類似性があるかを考える必要があるのではないかと思う。

★★★★★ / エンタープライズのためのGoogle Cloud

Google Cloud が提供している多くの機能の全体像と概要が説明されている。エンタープライズのためとあるように、アカウントの管理なども丁寧に書かれている。

本書では大きく以下のような内容について書かれている。

・アカウント設計(CHAPTER 2)
・セキュリティ設計(CHAPTER 3)
・ネットワーク設計(CHAPTER 4)
・プロダクト設計(CHAPTER 5)
・監視・運用設計(CHAPTER 6)
・移行設計(CHAPTER 7)

Google Cloud の複数の機能について解説がされていることや、それぞれの機能について知識がない部分を認識して調べるきっかけにできる点で価値がある。

★★★★☆ / システムテスト自動化 標準ガイド

プログラミング言語を知ることだけがソフトウェアテスト設計ではないのと同じように、テスティングツールを知ることだけがテスティングの自動化ではない。

テスト自動化のコンテキスト

テストの自動化に批判的な視点を含め、スクリプティング、テストウェアアーキテクチャなどいくつかの範囲について詳しく書かれている。
記載されている具体例が原始的なので実際のプロダクトのテストへの適用を考える際には想像力が必要になるだろうが、環境の変化のスピードが速いソフトウェア開発においては仕方ないだろう。

プロダクトとして提供されているテストのためのソフトウェアを前提にしてプロダクトのテストを行うのではなく、プロダクトの性質を踏まえた効果的なテストを考える上でいい機会になると感じる。

JSTQB Advanced Level テスト自動化エンジニア のシラバスの補完的な情報源としても適している。

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