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影法師ーー弱法師(よろぼし)

   影法師ーー弱法師(よろぼし)
               鳴沢 湧 

よちよち よろよろ 影法師
連れ立ち歩く 我が影よ
ふと微吟す 『弱(よろ)法師(ぼし)』の
<  難波なる長柄の橋のいたずらに
かなた こなた とありく(歩く)ほどに
盲目の 悲しさは
貴賤の人に 行きあいの
まろび  ただよい  難波江の
足もとは よろよろと
げにも真(まこと)の弱法師とて
人は笑ひ給ふぞや
思へば 恥かしやな
今は狂ひ候まじ
今よりは 更に狂はじ  >

影法師よ 弱法師よ
雨上がりの 水色空よ
露を含める 欅の若葉
狂はし季(とき)よ 木の芽時
想ひ抱いて 空駆けようよ
山超えて 海超えて
憧れの国へと


<  難波なる長柄の橋のいたずらに
~から~今よりは 更に狂はじ  >
までは謡曲『弱法師』の引用です。

               2021年4月30日

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