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「何をWebで発信すべきか?」を語り合うなかで、事業の新しい道筋をつくる

✔ 組織開発コンサルティング会社である株式会社BRICOLEUR(ブリコルール)が、コーポレートサイトにおける情報発信をナラティブベースに依頼。
✔ これまでの約3年間でお客様事例や対談の記事を計24件制作し、ブリコルール独自の視点や取り組み方を発信。
✔ そのなかで、承継期にあるファミリービジネスの中小企業に向けた広報戦略をはじめ、多彩な連携を行うようになった。

ブリコルールのコーポレートサイトの記事作成から始まった、ナラティブベースとのプロジェクト。対話しながら取り組んできたなかで連携の幅が広がり、現在、ファミリービジネス承継の支援に注力するというブリコルールの新たな道筋をつくる部分においても、ナラティブベースが関わっています。なぜこのようにプロジェクトが発展したのか、ブリコルール代表の野元さんと、ナラティブベースのチームコンダクター藤川が、これまでのプロセスを振り返りました。


共感を引き出す記事を、継続的に発信していきたい

――まず、ブリコルールについてご紹介ください。

【ブリコルール 代表取締役 野元義久さん(以下、野元さん)】簡単に言うと、主に中堅・中小企業に対して、理念づくりや人事制度策定、社員教育などに関するコンサルティングやファシリテーションを行っている組織開発コンサルティングの会社です。学びと経験が豊富なコンサルタントが5人おり、制度などの枠組みをつくるだけでなく、コンテクスト(文脈・背景)を丁寧に扱いながら組織内の関係性を整えることまで行うところは、ブリコルールの大きな価値だと自負しています。

――2021年春にナラティブベースとのプロジェクトが始まりました。どのような経緯があったのでしょうか。

【野元さん】自社サイトをリニューアルした際、コンサル事例についてクライアントにインタビューする「Case」と、メンバーが尊敬する方々と対談する「Talks」という2種類のコーナーを設定し、継続的な情報発信を始めたんです。その新たな運営パートナーを探している時、ナラティブベース代表の江頭春可さんと話す機会があり、お願いしてみようということになりました。ナラティブベースとのお付き合いは初めてでしたが、江頭さんはリクルート勤務時代の後輩で、この人の会社なら大丈夫という信頼がベースにありましたね。

【ナラティブベース 藤川麻夕子(以下、藤川)】2カ月に1回のペースでWeb記事をアップしていくというご要望に合わせ、ナラティブベースではディレクター兼Web制作担当である私のほか、ライター2人をアサインして3人チームを立ち上げました。最初、オンラインで各コーナーの趣旨やまとめ方の方針などを打ち合わせさせていただいたなかで、単に実績をアピールするのではなく、読み手の共感を引き出す方向性を強調されていたのが印象に残っています。

【野元さん】おっしゃるとおり、お客様とのご縁が長く続くためにも、まず私たちの方針に共感いただくことをとても大事にしていますね。

3年間で24本の取材記事を共に制作、Webで発信

――実際に記事づくりを一緒に進めてみて、どのような感想をおもちでしょうか。

【野元さん】初回は、横浜にあるお客様へのCase取材でした。通常、担当ライターさん1人が参加してくれれば事足りるのですが、そのときナラティブベースのチームメンバー3人揃って参加してくれたんですよね。その気合の入れようにはちょっとビックリしましたし、見習いたい姿勢だなと感じました。

【藤川】継続的に記事づくりをしていくうえで、ディレクターとして一度、取材現場の空気を直接感じておきたかったんですよね。ブリコルールの皆さんはコンテクストを大事にしたお仕事をされ、言葉のニュアンスにも非常に気を遣っていらっしゃるご様子でしたので、なんとかご期待に応えたいという意気込みもありました。結果的には、ブリコルールさんのご配慮もあって滞りなく取材でき、初稿も大きな軌道修正なく進められることができ、ほっとしました。

――これまでの約3年間でCase10本、Talks14本を一緒に制作してきました

【野元さん】そんなにたくさんになるんですね!

【藤川】私は他社のコーポレートサイトにいくつも携わってきましたが、ブリコルールさんほどコンスタントに丁寧な情報発信をしているケースはそう多くないんです。よくあるのが、「ネタがない」と更新がストップしてしまうこと。その点、ブリコルールさんの場合は次々とお客様事例や対談相手の候補が挙がってきますよね。たくさん良いお仕事をされてお客様との関係性が良好なことの表れなんだろうと思います。

【野元さん】もし「どんな時に仕事で充実感を感じるか?」と聞かれたら「Caseの取材をしている時」と答えたいぐらい、私にとってこれらの記事は大事なんですよね。

Case取材は、お客様の組織に関するお悩みに対して当社がどう貢献できたか、お客様から直接お伺いできる貴重な機会です。普段はなかなか口にされない感謝の言葉をいただくこともあります。関わったメンバーにとっては、最大の非金銭報酬なんです。メンバーの満足は、私の満足にもつながります。そうした内部的な効果という意味でも、CaseやTalksが途切れず続けられることは、非常に喜ばしいですね。

ブリコルールのコーポレートサイトのCaseとTalks

構想を徹底的に聴くなかで、プロジェクトは新事業推進へ

――プロジェクト開始から2年が過ぎた頃から、記事制作以外でもご相談いただくようになりました。

【藤川】そのきっかけの1つには、ナラティブベース側の動きがあると思います。

ナラティブベースには、業務を現状維持で終わらせるのではなく、常に次への発展に向けて提案をしていこうとする文化があります。今回も、記事づくりを重ねるなかでその周辺にある課題も見えてきたことから、「私たちにできることを提案していこう」という話になったんです。

それをきっかけとして、野元さんと私たちで情報発信全般について話し合う「全体ミーティング」を定期開催するようになりました。そのミーティングでナラティブベースからいくつかのアイデアを出したところ、野元さんに「いいね!」と反応していただき、コーポレートサイトへのアクセス解析の導入や、Talks記事のプロモーション動画制作など、新しい取り組みが実現しました。

【野元さん】組織開発の職人集団というブリコルールの内部からは出てこないアイデアをいただけるので、とても助かっています。

また、プロジェクトが広がったもう1つのきっかけとして、ブリコルールが事業の重点テーマとしてファミリービジネス(同族経営)の承継支援を掲げたこともありますね。

――ファミリービジネスの承継支援という事業の重点テーマが、このプロジェクトの重要課題にもなったのですね。

【野元さん】はい。ブリコルールでは近年、承継期にあるファミリービジネスの中小企業からのご相談が増えています。ファミリービジネスの承継には家族の問題も絡むので、非常にややこしい場合が多いんです。混乱して組織内の関係性が悪化してしまうこともあり、非常にもったいないというか、納得がいかないというか…。悲しい事態にならないようなんとか支援したい、という強い思いが私にはあります。

また、そういう一筋縄ではいかない組織開発に対応できるコンサル会社は少ないですが、ブリコルールならできるという自信もあります。社会的意義も考え、これこそ私たちが力をいれてやっていく領域なのではないか、と考えるようになったんです。

ファミリービジネスの承継支援に注力するにあたり、私たちはその領域が得意であることをきちんと世の中に発信していくことが必要です。そこで、ナラティブベースの皆さんならきっと面白がってくれるんじゃないかと思って、かなり初期段階で相談しました。

――プロジェクトはどのように進んだのでしょうか。

【藤川】最初にご相談いただいた時点では具体的に何をやるかは決まっていなくて、「書籍を出版する?」「セミナーを開催する?」などさまざまな方向性が考えられましたね。そのなかで最初に取り組んだのは、野元さんのファミリービジネス承継に対する思いやブリコルールの仕事の仕方について徹底的に“聴く”ことでした。とはいえ、具体的なアウトプットを探るためにはどのような進め方がよいのだろうという迷いはありました。

それで、ナラティブベースのさまざまなプロジェクトで蓄積されてきた知見を共有してもらおうと、「お客様理解の進め方」をテーマに勉強会を開催することに。そこで私たちのチームはヒアリング時の姿勢や具体策への活かし方などを学び、野元さんのお話を“聴く”ことに役立てました。ほかの参加メンバーにとっても、プロジェクト内に埋もれがちな知見をシェアする有意義な場になったと思います。

【野元さん】そういう動き、良いですねぇ。

相談を始めた頃のブリコルール側の状況もお話しすると、ファミリービジネス承継支援に重点を置くことに対し、当初、メンバーはそれほど乗り気ではなかったんです。だからこそ、ナラティブベースの皆さんに語ってみるという壁打ちによって自分の考えを整理できましたし、聴いてくれる存在がいることに支えられていた面もあります。

【藤川】プロジェクトの一環で、ブリコルールのメンバーお二人に「ブリコルールがファミリービジネスの承継支援に力を入れることついてどうお考えか」をインタビューさせていただいたこともありましたね。「第三者からのインタビューだからこそ出てくる話もあるかもしれないから」と提案させていただき、実現しました。ブリコルールの特長をより鮮明に知ることができ、その後の承継施策や記事作成に大いに役立っています。

【野元さん】私たちは普段の仕事では聞き役なので、メンバーもたくさん話を聴いてもらって嬉しかったと思います。

そんなこともありながら何か月か経ち、今ではファミリービジネス承継支援に注力していこうという機運がだいぶ高まってきました。初期からナラティブベースさんに関わってもらった影響もあると思って感謝しています。

――ファミリービジネス承継支援の注力に向けた施策は、現在はどんな状況でしょうか。

【野元さん】さまざまな議論の末、従来のコーポレートサイトとは別にファミリービジネス承継に焦点を絞ったランディングページを作成することになりました。ブリコルールがファミリービジネス承継に力を入れていること・得意としていることを、世の中にきちんと知らせるものにしたいと思っています。

【藤川】ランディングページには、野元さんのファミリービジネスへの思いや、当事者の方たちに対する寄り添い、承継タイミングの組織改革の重要性の理論的解説など、幅広い要素が入ります。アピールの押し売りではなく、CaseやTalks同様、共感を引き出すというブリコルールさんのスタンスが表れるものになりそうです。今、プロジェクトメンバーを増強して夏のリリースに向けて準備を進めているところで、私たちも完成をとても楽しみにしています。

あいまいな要件定義から出発し、互いを高め合う関係性に

――Web記事制作という小さなところから始まり、事業の道筋づくりの戦略に関わらせていただくまでになりました。このようにプロジェクトが拡大している背景には、何があるのでしょうか。

【野元さん】そうですね…。業務を請け負う時に要件定義をどこまで明確にするかは会社によって違いがあり、「要件定義がしっかり固められない仕事は受けられません」という会社もたくさんあります。しかし、ナラティブベースさんの場合、要件定義があいまいな状態から相談してもいい、と。それが、私がナラティブベースさんを頼りにする、最も大きな理由かもしれません。

実績というより期待値で「こんなことできない?」と相談するので、難しいお願いもしちゃっているかもしれませんが…。

【藤川】一般的は、要件定義が曖昧な仕事を受けることはリスクがあります。しかし、ナラティブベースはそれをチャンスでもあると捉えています。いろんな関わり方が可能になり、多様なナラティブベースメンバーが活躍することにもつながりますから。

また、要件定義が曖昧で実績のない領域のご依頼であっても、それに合わせてナラティブベース側が変化するんです。むしろ最初から「それできます」「自信あります」というケースはあまりなくて、いただいたミッションに対して挑むスタンスで柔軟に取り組み、結果的に成果を上げているのだと思います。

【野元さん】なるほど、プロジェクトに取り組むなかで自らレベルアップしていくわけですね。

今のお話は組織論としても面白いです。ナラティブベースはさまざまな得意をもつ人がいるので、一見、仕事に人を割り当てるジョブ型の会社に見えますが、実際には人を軸に総合的に多様な仕事に広げていくというメンバーシップ型の面もある。その混沌とした感じがナラティブベースなんでしょうね。

【藤川】そういうふうに私たちを面白がってくださる方と一緒にお仕事できるのは、本当に幸せなことですね。

――ブリコルールさんとナラティブベースの関係性について、どのように感じていますか。

【野元さん】少数精鋭の専門家集団であるブリコルールにとって、ナラティブベースは“一部署”のような感覚ですね。最初は“原稿制作課”だったのが、その周辺の戦略も検討する“マーケティング部”になって、今では“社長秘書室”みたいな存在です。

【藤川】“社長秘書室”とは、ずいぶん昇格させていただきました(笑)

【野元さん】私がアイデアや困りごとをつぶやくと、コンテクストを読み取りながら「面白いですね」「よくわかりません」など返していただけるので、その反応を見ながら一歩を踏み出したり様子見したりしています。ありがたい存在です。

【藤川】私が一緒にお仕事させていただくなかで感じるのは、ブリコルールさんとナラティブベースには似たカルチャーがあるなということです。ブリコルールさんは「コンテクスト」、ナラティブベースは「ナラティブ」という異なる言葉を使いますが、どちらも相手の背景にあるものを大切にしながら仕事をしています。そうしたスタンスがかみ合っているからこそ、私たちも挑戦することができ、そのなかで想定以上の力を引き出していいただいているように感じています。

――最後に、ナラティブベースへのエールをお願いします。

【野元さん】本日お話ししてみて、まだ私の知らないナラティブベースがありそうだなと思いました。もっとナラティブベースを知りたい。そして、もっと一緒にいろんな取り組みをしていきたいですね。

【藤川】ぜひよろしくお願いします。本日はありがとうございました。



<対談企業のご紹介>

株式会社BRICOLEUR(ブリコルール)様



<主に関わっているナラティブベースメンバー>

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