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これからの飲食店 集客の教科書 ~前半~

著 白岩大樹 長屋大輔 上田逸平 
監修 山川博史

今回は飲食店集客について。
この教科書や現在私が勤めているSAKEstory、ラーメン屋、サイゼリヤなどの様々なビジネスモデルと照らし合わせて考えていきます。

まず最初に飲食店は行列に向いていないビジネスです。

① 席数の限界がある 
お店の評価と行列が直結しているとは必ずしもいえないビジネス

② 来店客が店内で食事をする時間がかかる
いつ解消できるかが読めない行列に飲食店が喜んでいるのは単なる自己満足

③ 注文してもらってから調理し、「できたて」を提供する
飲食店は他の小売業とは異なり、完成品を作り置きが出来ない。
来店されたお客様に「できたて」を提供する事が最も喜ばれるビジネス。

つくり溜めを普段から行っていては、できたてを提供している競合店には敵わず、リピーターが減っていく。

① 旅先などで遠出して並ぶのであればかまわないが、地元の普段使いの飲食店に並ぶ姿を知り合いに見られるのは心理的にNGだったりする。

・仮に行列が出来ていた店舗が数か月後に行列が無くなったとする。
すると、以前より人気が無くなったと思われるリスクがある。

サイゼリヤやラーメン屋ではピーク時にかなりの確率で行列ができます。

確かに行列が出来る事は凄い事ですが、この「待つ」という行動において消費者のハードルが勝手に上がっている様にも感じます。

これだけ待って食べてみたけど味はいまいち、料理が出てこないなどの不満にも繋がるリスクがあります。

しかも待っている人全員がポジティブに待っているとは限らない。
安いから家族で来てみたけど、全然案内されなくてイライラしてネガティブになっている方もいると思います。

個人的に困る質問が「あとどれくらいで席空きますか?」です。

結構な割合で聞かれるのですが分かりませんし、空きそうなテーブルがあったとしてもざっくりとした時間しかお伝え出来ないです。行列が出来るとこの様なやり取りも出てくるので結構大変です。

② も同じです。食べている人のペースは様々なので、いつ席が空くか分からないし、食べ終わり長居する人だっています。
確かに行列が出来れば経営者は嬉しいでしょうが、現場のスタッフは割と大変です。

③ の問題に対して全く逆をいっているのがSAKEstoryです。
ウチのお店では1番最初に事前準備しているお重をお出しします。
いわゆるお通しです。

確かに1番最初にできたてを提供する事は大事です。
それが当たり前だと思っていました。

ただ、ここでできたてを提供するまでの待ち時間が発生します。
ウチではここの待ち時間がほぼありません。

期間を決めて地方の日本酒+郷土料理を提供していており、お重の中にその郷土料理を入れています。
更にお重を開けた際その料理の名前、どこの地域の物なのか、由来なども説明します。

お重

これによりお通し=注文していないのに食べないといけない物から
お通し=価値のあるものに変わります。

ウチではお通しでお重に加えスープやおつまみ、すき焼きコロッケなど全部で4,5種類を提供します。
※事前の内容とは変わる場合もあります。

お通しでこれだけ出てくるお店はあまりないと思いますが、ここに対してのクレームを聞いた事ありません。

満場一致ではないと思いますが、お客様の求めているニーズに合っているのだと思います。

・ポイントカードの導入

物販物のマーケティングを飲食店は鵜呑みにしてはいけない。
ここに注力してしまうと、しなくてもよい割引をしてしまう可能性も出てくるし、商品力の追及がおろそかになるおそれもある。

あくまでも飲食店にとってお客様の来店を決定づける最大要因は商品とサービスである。

・販促企画の誤解

お客様に行ったらやってたではなく、やっているから行こうと思ってもらう。
これは、告知による事前確認が必要だという事。

既存客に向けたDM、メール、SNS、アプリによる情報配信。
事前に店内でポスターを掲示、チラシを渡すなどの店内事前告知も有効

これらをする際にイベントを開催するスタッフ全員がその重要性を理解出来ていないと、十分な効果は出ない

・店内を固める事の重要性

店内が固まったというのはお店のスタッフ全員が同じ目標に向かっているという事

本書では「判断の基準を持続的な情報共有のしくみを導入し、それが維持出来ている事」としてあります。

サイゼリヤでは従業員は全員店舗のグループラインに入るのですが、店内状況やメニューなど変更点があった場合は速やかに連絡が入る様になっています。

大所帯になるとこういった細かい連絡は必要かもしれません。

・残存率の割合を高める

残存率…「もう2度と来ない」と思わなかった人の割合
この割合を限りなく100%に近づけるポイント
QSCを高い水準で維持向上させる

Q=クオリティ   商品
S=サービス    接客 
C=クレンリネス  清潔さ

このQSCを店長、スタッフが常に点検しその水準を高い状態に保っておく事が必要。

そしてこの状態を保ちつつ、リピート率をお店手動で高めるにはどうすればいいのか?
それはお客様から教えて頂いた個人情報を活用する

① 住所&氏名 DM・お礼状などの郵便物を送れる
② メールアドレス 販促メールを送れる
③ LineなどのSNSアカウント 販促告知が出来る

これらは飲食店の弱点であるお客様の次の来店までの間隔(来店頻度)をお店の都合で縮める事に繋がる

これはどういう事か?

SNS(Twitter、Instagram、Facebook、LINE)などのツールへの情報発信は送付コストを抑える事が出来、スピーディー、そしてタイムリーにお客様のスマホなどの端末に送る事が出来る。

※ここで注意すべき事は手軽な内容を簡単に送れてしまう事が逆にお客様の潜在的な不満を買ってしまう危険性もある。

情報を流し過ぎると逆にマイナスに捉えられる事もあるので注意が必要となる。

そして昨今SNSの活用が当たり前になり、逆に手書きのお礼状や記憶に残る贈り物の価値が上がってくる
これらがしっかり出来れば来店頻度を高める事が出来、さらに他店への浮気防止にも繋がる。

実際にSAKEstoryでは休業明けの告知の際に自家製の山椒ポップコーンを作り袋に詰め、裏面にメッセージを貼り付け常連さんやお世話になっている方々に送った事があります。

※袋が大きくなるとポストに投函出来なくなるので注意が必要。

・送った結果

再開時にわざわざ足を運んでくれるお客様も増え、酒蔵さんのご来店、DMを頂いたりなど反応がとても良かった。

ポップコーンを作り、発送の準備等で人件費、材料費等のコストはかかるが結果的にこれらは、ほぼペイ出来た。

お客様の記憶にも残るし、他店への浮気防止にも繋がる。
※ここで注意すべき点は連絡先が分かる人全員に送れば良いというものでは無い事。

会社での立場もあるし、送られて迷惑に感じる方もいると思うのでそこの見極めは大事。
本書ではお礼状を送る際に決めている例があります。

・書くための標準時間を1令状あたり5分以内
・誰でも書ける様に一部だけ手書きにする
・書いたスタッフの名前を書く様にする
・そのお客様のだけの内容を入れる

お客様だけの内容とは

・話した話題ついて
・来店したきっかけについて(会話の中で)
・誰と一緒に来たかについて

更にお礼状には特典と有効期限を記入する
これらはバレーボールでいうところの
①レシーブ②トス③アタック

① フキダシのコメントでお客様の心にあるあなただけ感を高める
② 特典でお客様の心にある欲求を浮かび上がらせる
③ 有効期限で次の来店日を区切る

手書きのお礼状の大きなメリットはお客様の再来店による売り上げのアップだけでなく、スタッフの成長や満足度のアップに繋がる

これらの再来店があったお客様の氏名等をデータベース化して顧客管理を進める。
再来店による売り上げアップだけでなく、顧客リストの精査(スクリーニング=質の高いリストの抽出)にもなる。

更にウェブ予約を受け付け、予約の管理を顧客台帳に反映させると効率が上がる

ノートだと書き写す作業、名前を間違う、記入漏れ等のリスクが発生する可能性も。
手書きで行う作業時間や人件費を考えるとウェブ予約や顧客台帳を導入させた方が良い場合も。

ちなみにSAKEstoryでは地域特集を2~3ヵ月区切りで行うので、これだけでも次回の来店理由に繋がる
お帰りの際に次回、特集地域のアナウンスをする。

記事が長くなったので前半と後半で分けさせて頂きます。
後半はSNSを活用した集客について。


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