何年経っても忘れない。「世界一美しい島」が私にくれたモノ。
少ししょっぱい、磯の香りが肺いっぱいに広がる。
夢に見ていた「世界一美しい島」に私はようやく降り立ったのだ。
トロントからバスを乗り継ぎ、丸2日。長かったような、短かったような・・・いやいや、やっぱり長かったなーと伸びをする。
人生で1回きりでいいや、と思う経験は20歳を過ぎたばかりなのに、そこそこ多い。
でも、ながーーーい旅の疲れも、心に巡る言葉がすぐにかき消した。
「吉村さんが切り取った風景はウソじゃなかったんだ。」
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高校生の頃、池袋のジュンク堂最上階でふと手に取った写真集。
【草原につづく赤い道―プリンス・エドワード島の12か月/吉村 和敏】
なんて、なんて、美しい写真たちなんだろう。
最初はそう思った。
でも、次第に気づく。
美しいのは「写真」ではなくて、「島」そのものだという事に。
フォトグラファーの吉村さんはこう綴る。
自分もこの島に魅せられた一人なのだ、と。
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眩しいくらいの青空の下には、同じくらいに蒼い海と、咲き乱れる様々な色の花々。そこに広がるレンガのような赤い土は、その島が唯一無二の存在であることを象徴しているように思えた。
ほんの6か月。
私がこの島に居れるのはそんな短い期間だけれど、1年の内最も島が輝く季節。
言うなれば、美しい島が、さらに美しさを増す季節。
なんて贅沢なんだろう。
噛みしめるように、強く思う。
島を離れ、何年かの時が経った今でも
島で過ごした日々、1日1日が愛おしい思い出だ。
目をつぶれば、あの潮の香りが蘇ってくるほどに、鮮烈で美しい島の風景。
あの時、あそこにいれた事は
なんて贅沢だったんだろう。
噛みしめるように、今でもそう、強く思う。
きっとそれは、これから何十年先の私の人生の中で、変わることはない。
いつか島にまた訪れ、記憶がアップデートされる、その時までは。
~Special Thanks to Kazutoshi Yoshimura~
草原につづく赤い道―プリンス・エドワード島の12か月/吉村 和敏