アドミュージアム東京(東京都港区・汐留駅)
カレッタ汐留の中にあるアドミュージアム東京。日本で唯一、もしかしたら世界でも唯一かもしれない広告に関するミュージアムで、広告代理店の電通の会長だった吉田秀雄の財団法人によって作られている。
江戸時代を基点にして広告の歴史を紹介している。看板や瓦版、印刷技術の発展によって広告はメジャーなものとなり、たとえば浮世絵だったり物語だったりにその舞台となっている場所の店の紹介などがそれとなくされているなんてものもある。
面白いのが判じ絵で、クイズ形式になっているもの。浮世絵なんかにもたまに謎の動物や謎の道具が盛り込まれていたりすることがあるけれど、店の看板なんかにもそういうのがある。民衆は判じ絵がとても好きだったらしく、こういうのをこぞって解いて遊んでいたという。
明治時代には新聞・雑誌という新たなメディアが誕生したことで広告が発展(この頃「広告」という言葉が登場)、特にタバコでは和風の岩谷商会と海外風の村井兄弟商会の広告合戦が繰り広げられたりしている。絵柄もこの頃になるとすっかり西洋風の絵柄に変わっている。
大正時代にはさらにモダニズム文化が融合し、杉浦非水や片岡敏郎といったクリエイターが登場しているが、時代は昭和の戦争へと一気に突入すると戦意高揚だけを意図した味気ない広告ばかりになって行く。色も少なくなって行くにつれて戦況が悪化していることが窺える。
やがて戦後から昭和へ。ラジオ・テレビの登場で広告が一変し、東京オリンピックを経て女性の社会進出、万国博覧会といった転機に寄り添う広告が次々と発表される。亀倉雄策や石岡瑛子のデザインが多く採用される。この戦後から昭和末期にかけての広告が一番クールでかっこいい気がする。
特別展示ではアーカイブの中から「元気が出る広告」を取り上げている。普段は2名までという人数制限のあるブースで流れる映像をスクリーンで大勢に観てもらえる方式になっており、人気投票もされている。やぱりポカリスエットやカロリーメイトの大塚製薬の爽やか系は人気が高い。天然水や烏龍茶のサントリーもなかなか。安定の明治製菓カールや小学館の小学一年生に混じって個人的に推したいのはアメリカのシボレーのCMで使われているOK Goのプロモーションビデオ。ほんとPVを作らせたら天才的。トイレはウォシュレット式。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?