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帝京大学総合博物館(東京都八王子市・大塚帝京大学駅)

多摩モノレールの大塚・帝京大学駅というなかなかのネーミングセンスな駅を降りると山の上の方に帝京大学の文字が見える。駅名に冠しているけれど駅からは意外と距離があるのと、周囲は基本的に住宅街になっているため帝京大学の学生はこの周辺ではなくてやっぱり多摩センターでご飯を食べたり遊ぶことになるのだろう。むしろ余計な誘惑もなく学生生活を謳歌できる学校と言える。

帝京大学総合博物館はその帝京大学の名前が掲げられた最も高いビルであるソラティオスクエアの地下1階にある博物館。あまり帝京大学の博物館は前情報がなく、どんなものなのか様子を見てみるという感覚で行ったのだけれど、これが大間違い。かなり展示内容の充実した博物館だった。

意外と広い

常設展では帝京大学の歴史と、この多摩地域周辺の自然について大学で調査した結果を踏まえた内容を採り上げている。大学史だけでなく割としっかりと博物館としての展示内容が充実しているところが面白い。パネルを効果的に使った展示をしており、まだ奥の方はガランとした空間が残っていたりもするので、これからさらに博物館の内容が増えて行くことが考えられる。
帝京大学の前身となる帝京商業学校は尾中勝也、沖永荘兵衛、忠石弘治、藤原澄雄の四人によって設立された。初年度はわずか四人だった入学者は、二代目の理事長である沖永荘兵衛の時に、父の沖永熊太郎の援助を得て拡大、最盛期には千名を超す生徒が在籍するまでに成長した。モットーの一つは「実践的教育」で、社会の即戦力となる人材を育てるための教育を中心としている。またスポーツ分野などでも多くの輝かしい業績を収めており、それらもまた展示内容の見どころであるかもしれない。

最大の支援者 沖永熊太郎

企画展はまず学生たちによる「世界の児童労働」についての展示。途上国の児童支援を行っているNPO法人へインタビューしてその実態を学んで行くという内容になっている。適正な価格で継続的に購入することで原料や製品を作っている途上国の支援につながる「フェアトレード商品」を紹介している。

国際フェアトレードなるものの存在を知る

もう一つの学生たちによる展示は鉄道について。40年以上の歴史を誇る鉄道研究部で多摩地域の鉄道に焦点を当てた展示を行っている。歴史的資料価値の高い鉄道部品や機関紙の紹介、ジオラマなどを通して、その研究の成果を発表している。鉄道博物館にもありそうな資料の充実さに熱量が伝わってくる。

熱い鉄分を感じる

最後は小島善太郎展。まさかの2022年4回目となる邂逅である。小島善太郎の関連している多摩エリアの美術館は全て回ったのでコンプリートしていたはずが、まさか帝京大学で小島善太郎展が開催されているとは思いもよらなかった。今年で生誕130年を迎える善太郎。今回は新発見の収蔵品なども紹介されている。今までに訪れた美術館の作品の他、初めて見る作品もあったのでこれはこれで見られてよかった。今年もっとも作品を見ている作家に躍り出た善太郎。桃の善太郎の異名の通り桃の作品も展示されている。

まさかのFOURTH善太郎

山の上にあるため少し行くのには難儀するものの、訪れるだけの価値が詰まっている博物館。善太郎の作品を見るなら百草園よりは坂道がキツくないのもありがたい。トイレはウォシュレット式。

校舎は山の上 階段とかで行く

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