下町風俗資料館〜旧吉田屋酒店〜多宝院(東京都台東区・上野駅)
・下町風俗資料館
およそ1年ぶりに訪れる下町風俗資料館。前回おとずれた時と同様に上野公園の池の端口の方面から、オークラ劇場の通りを敢えて進みながら不忍池へ。大人の社交場であるオークラ劇場、上映されている映画のポスターがいくつか貼ってあったが、今回は心を震わせるインパクトのタイトルは残念ながら無かった。やはり「車内ゆれますのでお尻におつかまりください」を超えるインパクトのキャッチフレーズにはなかなか遭遇しないらしい。
不忍池のほとりでは人生の先輩方が歓談している。前回も同じ位置に同じような先輩方がやはり集まって歓談していた。ワンカップやチューハイ、なかなかの盛況振りである。前回は見受けられなかった女装家のメンバーも複数いたので前回とは別グループかもしれない。
その横にあるのが下町風俗資料館。場所と名前的に勘違いされそうな名前ながら文化風俗を扱った硬派な資料館である。2階建てとなっており、それぞれの階には下町の文化風俗を移築したかのような展示が多くある。
1階でまずお目見えするのが公衆電話ボックス。自働電話と呼ばれたいたらしい。資料でしか見たことのないような電話機もある。1階は主に大正時代の下町での生活がわかる展示品が多くあり、実際に長屋にお邪魔するかたちで楽しめるのが良いところ。ゆったりとした時間が流れている。今では遠い昔。テレビもない時代の音を感じたいもの。
2階へ上がるとこちらはガラスケースでの資料展示の割合が多くなる。文明開花によって花開いた東京の下町エリア。浅草の発展や関東大震災、戦争を経て荒廃した町やそこからの復興、東京オリンピックの隆盛といったことが年代ごとに展示されている。昭和時代に使われていた銭湯の番台もある。憧れの番台。時期によっては上れるらしい。いつか上りたいもの。他にも昭和時代のお茶の間が展示されているなどノスタルジックな気分に浸れる。トイレは洋式。
・旧吉田屋酒店
鶯谷から少し足をのばした言問通り沿い、谷中霊園を通り過ぎて旧家が立ち並ぶ交差点の一角にあるのが旧吉田屋酒店。上野公園内にある下町風俗資料館の敷設展示場として開放されている。
江戸時代から残された建物を移築しており、江戸時代から明治時代にかけての商家建築の特徴を残すものとして展示されている。屋内は酒屋だった頃の名残が残っている。印象的なのは塩・砂糖などの量り売りケースが残っていること。酒屋とはいいつつ、当時はこれら味噌・醤油・砂糖・塩をはじめ米なども扱っていたらしい。
入館が無料というのもあってか訪れる人も多く、手前にはベンチもあるので一休みするにはちょうど良い場所。向かいにはカヤバ珈琲店、すぐ近くには愛玉子(台湾デザート)の店があったりと谷中散歩する際にはぜひ訪れたい場所(旅行ガイド風に)。トイレはなし。
・多宝院
近くには多宝院がある。立原道造の墓があることで知られる。ちなみに立原家の墓は2つあり、大きい方の墓、向かって左から2つ目に彼の戒名「温恭院紫雲道範清居士」が刻まれている。ポストが備えられているのが詩人の墓らしい。