演芸資料展示室(東京都千代田区・永田町駅)
国立である。都がやってるわけでも区がやってるわけでもない。国がやってる施設である国立演芸場。主に落語や講談を中心に公演をおこなっている。永田町のお膝元にあるというのがなかなか違和感があって興味深い。政治家には落語や講談に興味を持っている人が多いということなのだろうか。能楽堂は千駄ヶ谷にあることを考えると、皇室関係のアレだろうか。それはともかく、この国立演芸場の屋内に演芸資料展示室がある。国立演芸場の中にあるので入館にためらいがちだが、公演を見なくても入場できる。
企画展として「明治大正 追憶の寄席」として、明治・大正期に東京に多くあった寄席の紹介をしている。庶民の日常において娯楽の中心であった寄席。かつて東京には寄席を行う劇場が150軒を超える数で存在した。今でいうライブハウスのようなものだろうか。たとえば夏目漱石『三四郎』や森鴎外『雁』などの小説にも登場し、いかに庶民の日常に浸透していたかがわかる。映画の登場などによって徐々に下火になってしまったものの、繁華街には必ずと言っていいほど存在したのである。
麻布十番倶楽部、神田立花、人形町末広、本郷若竹亭、神保町花月、日本橋新柳亭。浅草江戸館をはじめとした多くの寄席が庶民の娯楽を支えたのである。今では数えるほどにしか残っていない寄席。時代の流れとは理解しながらも、こうした伝統は残して行きたいものである。トイレはウォシュレット式。
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