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横山大観記念館(東京都台東区・湯島駅)

日本画家の重鎮としてまず名前が上がるのが横山大観。明治・大正・昭和にわたって日本画壇の中心にいた傑物である。その横山大観の旧宅が現在は横山大観記念館として故人の遺志に沿って公開されている。上野公園のすぐ隣、東京芸術大学から近い場所にあるというのもさすがである。

特に企画展らしきものは開催されておらず年に4回ほど展示内容を替えているらしい。日本画家らしく和館である。靴を脱いで入館すればガラスケース内には習作の展示。右手にある小部屋では大観が収蔵していた陶磁器が紹介されている。1階は主に3部屋が開放されており、まず注目するのは大観の寛ぎの場でもある鉦鼓洞という和室。画室で作品を描いた後は囲炉裏もあるこの部屋で寛ぐのが日課だったという。客間としても使われ、重要文化財でもある不動明王の立像が安置されている。隣接する庭を一望できる小高い位置にある。

遠近法を効果的に使っている庭

第二客間と寝室が庭を見渡す形で隣接している。庭は遠近法を意図して手前が広く、奥が狭くなるような形にデザインされているという。中央には巨大な石もある。寝室で霊峰富士の四部作などが展示されている。

2階はショップもある

階段を上がった2階が画室。大観が仕事をしていた部屋である。基本的に撮影不可の館内ながらこちらは撮影可能。南東向きの2階窓からは窓越しに不忍池も。画家ならではで景観を大事にしていた。実際に大観が愛用していた仕事道具や和紙が残されている他、建物は文化財として残されているため、修繕も手をつけず当時のままにされている。

あえて残している昔のままの明かり

部屋の明かりも和紙が破れた状態になっており、文化財の修復で修繕すべきか、当時の名残をこのまま残しておくかが課題だったりと、老朽化している名士の建物ならではの悩みも尽きない。トイレは洋式。電灯スイッチが見当たらなかったので、閉館時間が他の美術館より早めなのもそういった理由からかもしれない。

仕事道具

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