中近東文化センター(東京都三鷹市・新小金井駅)
中近東の考古学をテーマにしたミュージアムというと、池袋のサンシャインシティにある古代オリエント博物館や、渋谷の古代エジプト美術館などがある。それらはターミナル駅の近くにあり利便性もよく、収蔵品も充実しているが、中近東文化センターはそれらに引けを取らない収蔵品の展示を行っているミュージアムである。ただ駅からはやや遠いのが難点でもある。
国際基督教大学やルーテル学院大学、東京神学大学といった各大学に挟まれた敷地にありながら、それぞれの大学の管轄というわけではなく、中近東文化の研究を生前に行なっていた三笠宮親王の研究所としての歴史を持った場所で、その想いに賛同した出光興産の創業者である出光佐三の協力を経て開館している。現在は予約制になっているが、訪問した時には見事にゼロ。貸切状態で見学できたので融通はきくかもしれない。
展示室はロビーを挟んで大きく分けて2つある。常設展示となる展示室ではエジプト文明から始まり、メソポタミアなどの中近東を中心とする文明として発見された遺構を惜しみなく展示している。その物量は他の考古学博物館の追随を許さないほどの膨大さで、考古学に興味を持つ人であればリアルに1日中いられるほど。面白いところでは麦を潰して小麦粉を生成する石挽きや、楔形文字を作る体験などもできたりする。石彫をはじめとして土器や青銅器に陶器、ラスター彩などが特徴的なタイル、ガラス工芸、金や銀の装飾具などを歴史と共に体感できる。
こちらのミュージアムのマスコット的なキャラクタなのがロビーに飾られているカバの形をした像。このカバ像、名前を募集するキャンペーンを実施した中で選ばれた「ルリカ」という名前がある。瑠璃色から名付けられたという。約4000年前にエジプトで作られたこの像はレプリカ製品も販売されているほど一押しとなっているキャラクタ(冒頭の写真)。
企画展示室の方は割とコンパクトな作りをしている。手前側の企画展示室では、この中近東文化センターができるきっかけとなった三笠宮親王の業績を追っている。学習院大学でも見たヘブライ語のタイプライターは一度くらい触ってみたいものである。その奥には出光コレクションが控えている。出光興産のミュージアムといえば東京駅ちかくの出光美術館であり、ここではその一部を収蔵してたまに展示するという。トイレはウォシュレット式。