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筆箱の中で世界一周旅行 〜理想の文具コレクション完成までの軌跡〜


①はじめに

 こんばんは。最近、「浪漫飛行」をリピート再生で聞いている物好きミミズク、ナルコスカルです。

 今回はボクが愛用している文具コレクション、一旦はコレクション完成という終止符を打ったのに、「モアベター」を目指して再度試行錯誤し、約4年かけて納得できる品々を入手した経緯を語ろうと思います。

 つまり、この記事は、noteで一定の人気がある「筆箱紹介」です。昨今の文具トレンドはガラスペンや木軸ペン、あるいは高機能シャーペン等であると、文具好きとして知ってはいます。しかし、この記事では各有名メーカー・ブランドのフラグシップモデル万年筆かそれに相当するもの、あるいはそれ以上に位置付けられている上位モデルが計11本登場します。ボク自身、若干やりすぎたと思っています。まるで防御性能を捨てて空戦・速度に優れた人型ロボット。

まさに「空を飛ぶ為の形」。

 まず最初に、ボクが文具ファンを始めてから3年目である2020年時点のペンケースについて語ります。次に、そこからコレクション整理・追加に着手した理由、最後に4年後である2024年の二度目の完成形について述べます。最後まで楽しくお読み頂けたら幸いです。

 私事ですが、ボクは2025年で文具ファンを始めて8年目に突入します。自分ではボク自身をまだまだ毛並みがホワホワの雛鳥だと思っていますが、一般的な観点では十分に成鳥なんでしょうね。

②一度目のコレクション完成

 では最初に、2020年に一度目のコレクション完成時の写真がこちらです。左から順に、

  • ペリカン「スーべレーンK600・青縞(ボールペン)」

  • ペリカン「クラシックM200・スモーキークォーツ」

  • モンテベルデ「プリマ・ターコイズ」

  • セーラー「プロフェッショナルギアスリム・サンライズ貿易限定『スケルトングリーン』」

  • セーラー「プロフェッショナルギアスリム・SHIKIORI-四季織-『雪椿』」

  • アウロラ「オチェアーノ・パシフィコ(通称「946型」シリーズの限定品)」

  • (旧)デルタ「ドルチェヴィータ・スリム」

  • プラチナ「#3776センチュリー・NAGASAWA文具センター限定『センスケ』」

  • プラチナ「#3776センチュリー・富士旬景『紫雲』」

  • ペリカン「スーべレーンM800・ストーンガーデン」

  • パイロット「カスタム823・ブラウン(アサヒヤ紙文具店限定フォルカンニブ)」

  • モンブラン「マイスターシュテュック149(14K中白)」

です。ペンケースは「茶谷産業」という商社の木製ペンケース12本用を使っていました。(現在は廃番品です)

 100円で買えるボールペンを「一般的な大衆向け乗用車」に例えると、これらのペンは全て「競技車両に近い高級スポーツカー」や「海外製スーパーカー」です。自分で書くと自賛のようですが、海外製万年筆の二大巨頭であるM800と149、国内大手3社の金ペンを漏らさずコレクションに加えている、「抜群の知名度を誇るオールドカーから性能に定評がある現行車両まで並んだ、夢のガレージ」です。

 当初のボクはまさにそう思っていて、だからこそここで一旦コレクション完成と銘打ちました。しかし、2022年にコレクション再構成を決意するまでに、黒雲のようなモヤモヤ感が気持ちを覆っていきました。

③コレクションに物足りなさを感じたその理由

 ここからは、その物足りなさの理由を記していきます。あえて断りを入れておきますが、これらのペンは「実用ペンとして申し分ない、名筆中の名筆」です。ボクの感じたものは「物好きゆえのワガママ」です。

・「優等生」すぎる

 ボクがそうであるように、物好きは往々にして「少し癖がある子」を好む傾向にあります。ボクが「実用万年筆の最適解」だと考えているカスタム823・フォルカンニブや調整済み中古万年筆である149を筆頭に、かつてのコレクションはボクにとって書き味が優等生すぎました。結末を言うと手放してしまいましたが、149は「万年筆の王」の異名に恥じないものでした。

 それに加えて、スーべレーンK600や149は定番品として、たとえ職場で使用するのにも相応しい、万人受けするデザインをしています。逆に言うと、華やかさが少し控えめです。同じくペンケースに並んでいるイタリア製のオチェアーノ・パシフィコやドルチェヴィータと比べると、その点では見劣りしていると感じてしまいました。

・ブランド被りとモデル被り

 ボクがそうであるように、物好きは往々にして「できる限り多くのモデルを触ってみたい」という願望を持つ傾向にあります。この流れ既視感あるような? プロギアスリムもセンチュリーも、万年筆界トップクラスの書き味です。しかし、その隣に同モデルが並んでいると、字幅が違っているとしても二者から伝わる感触の差異は、悪い意味で同化してしまいました。

 外見に関しても同様です。各メーカー・ブランドがそうであると認識しているように、ペンにおいて「顔」の一つがクリップです。自社の高い技術力の一端を見せつけている、パイロットの丸クリップ。象徴として後継ブランドにも引き継がれた、旧デルタの車輪型クリップ。それ以外のクリップについても、文具ファンならペンのクリップを一目見ただけでその親元を判別できます。ヒヨコ性別鑑別師並みの専門技術です。

 つまり、ペンケースの中に「同じ顔」が並んでいる光景は、ボクに対してマンネリを引き起こしてしまいました。特に、ボールペン、中価格帯、フラグシップの一番人気とモデル自体は異なりますが、ペリカンの顔を模したクリップがコレクション内に3つもありました。ボクはミミズクなので同族であるペリカンは好みですが、他社のペンも触ってみたくなってしまいました。

 以上が、ボクがコレクションの再構築を始めた理由であり、これが2023年1月初頭の状態です。

 換羽期の如く歯抜け状態です。それらの場所に収まっていたペンは全て、次のコレクションの礎になってもらう為に売却しました。

 余談ですが、ペンケースには入れずにペン立てに置いている廉価帯万年筆は、時折無償で手放します。ゆえあって福岡にお住まいの方へ、ボクが住んでいる地域のご当地インクを吸わせたプラチナ・プレピーを譲った事もあります。

 そして、この状態でも新しいペンが加わっています。同年4月の写真がこちらです。

 公園に集まる鳩のように、またもやペンケースが埋まりました。ペンの紹介は後述するとして、この時点でペンケースの許容本数の限界を感じ、さらに本数が多いものへ買い直しました。大手文具オンラインショップの一つである「ペンハウス」のオリジナルブランド、「ペント」の16本用2段ペンケースです。(2025年1月上旬現在品切れ中で、再販予定は未定です)

 つまり、この時のボクはまだペンの本数を増やす気でいました。文具ファンにとって常識ですが、夕暮れに電線へ群がるカラスのように、ペンは別のペンを呼びます。集まれトリ友。みみずくほーほーあうるあい。

 その後、コレクションの吟味を続け、2024年1月に二度目のコレクション完成を迎えました。ようやく本題である、現在のコレクションを語っていきます。

④二度目のコレクション完成

 ボクは真夜中のハンターであるミミズクなので、君が鳥ネタに飽きてきた事をお見通しです。早速現在のペンケースの外見から触れていきましょう。

ガラスへの反射で左端のペン色の判別が難しくなっていますが、実際はとても綺麗な青緑色です。

 ペンケースそのものの機能・性能には関係ない場所に、ステッカーカスタムを施しています。このペンケースは上蓋の一部がガラス張りになっており、上段がそこから覗ける作りになっています。「ここに一番のお気に入りペンたちを置いて、使用してない時でも楽しめるように」という意図ですね。

 ボクは青色のペンが好きなので、上段はそれらで統一しています。ここはボクのコレクションの中で一つ目のコダワリポイントです。そして、これら8本のペンは限定生産品や一部ショップ限定品です。

 前半でも登場したペンの他に、新顔も増えていますね。新しいコレクションの全貌は以下の通りです。上段左から下段右に向かって、

  • ペリカン「クラシックM205・アパタイト」

  • ツイスビー「ダイヤモンド580AL・三越伊勢丹限定『イセタンブルー』」⭐︎

  • セーラー「プロフェッショナルギアスリム・報画堂限定『ラムネブルー』」

  • アウロラ「オチェアーノ・パシフィコ」⭐︎

  • パイロット「キャップレスデシモ・カスタム会限定『アクアマリンブルー』」

  • モンブラン「マイスターシュテュック・グレイシャー・ドゥエ」⭐︎

  • ペリカン「スーべレーンM800・ストーンガーデン」⭐︎

  • ビスコンティ「オペラマスター・アンタークティカ」⭐︎

  • レオナルド「モーメントゼロ・アロハ(シルバートリム・ボールペン)」

  • (旧)デルタ「ドルチェヴィータ・スリム」⭐︎

  • シェーファー「レガシーヘリテージ・ブラッシュドゴールド」⭐︎

  • パーカー「デュオフォールド・デュオフォールド100周年記念『ブラック』」⭐︎

  • プラチナ「#3776センチュリー・富士旬景『紫雲』」⭐︎

  • ピナイダー「ラグランデベレッツァ・マラカイトグリーン」⭐︎

  • パイロット「カスタム74」⭐︎

  • パイロット「カスタム823・ブラウン(フォルカンニブ)」⭐︎

です。一度目のコレクションと比べて、外装が華やかなペンが増えました。金持ちぶりたくないので具体的な金額は伏せますが、これらを集めるにあたって少々無茶な金策をした時期もあります。(もちろん法を犯す方法ではありません)

 星印がついているものが、前述した「フラグシップモデル万年筆かそれに相当するもの、あるいはそれ以上に位置付けられている上位モデル」です。

インク吸入直後のラムネブルー。
氷河を模したグレイシャーのキャップ加工は、まるで宝飾品のような気品があります。
オチェアーノ・パシフィコは日本語で「太平洋」。まさに豊かな海の色です。
イタリアブランドのペン先。
左上:ピナイダー、右上:ビスコンティ、左下:アウロラ、右下:旧デルタ。

 それぞれのペンの生産国(「どの国のブランドなのか」ではなく、あくまで「ペン本体の生産国」)は、

  • ペリカン→ドイツ

  • ツイスビー→台湾

  • セーラー→日本

  • アウロラ→イタリア

  • パイロット→日本

  • モンブラン→ドイツ

  • ビスコンティ→イタリア

  • レオナルド→イタリア

  • (旧)デルタ→イタリア

  • シェーファー→不明(当時のブランド自体はアメリカ)

  • パーカー→フランス

  • プラチナ→日本

  • ピナイダー→イタリア

 です。日本・ドイツ・イタリアを中心に巡り、他国にも寄り道しています。このコレクションにはもう一つのコダワリポイントがあり、「ペン先を自社生産」か「ペン先メーカーに特注で作らせたペン先を搭載」したものを多く選んでいます。前者がペリカン、セーラー、アウロラ、パイロット、モンブラン、ビスコンティ、パーカー、プラチナで、後者がシェーファーとピナイダーです。ボクの好みに合わせて各ペンの字幅は太字帯のものが多く、一方で手帳記入などの際に重宝する極細字〜細字も存在しています。もちろん書き味は上々です。(具体的にどれかは明言しませんが、物好き好みの少々手のかかる子もいます)

 また、アロハとレガシーヘリテージは個別で紹介しています。お手隙でしたらお読み頂けると嬉しいです。

 このペンケースは、ペン収納スペースの右に多目的な小物用スペースがあります。本来の想定としては、インク瓶やカートリッジインクの為ですね。ボクはリモートでカードゲームをプレイする事があるので、そこへプレイ中に使用するダイスやライフカウンター(減点式持ち点カウンター)を入れています。こういった「ユーザーのパーソナリティに合わせられるスペース」は、意外と重宝しますよね。

⑤おわりに

 ここまでお読みくださりありがとうございました。君が「鳥になってみたい」という願望を持ってくれ……失礼、悪癖が出ました。君が文具へさらに興味を持ってくれたなら、ボクにとってそれ以上の報酬はありません。

 今回はボクのペンコレクションでしたが、君にとって好みのペンはありましたか? 少々値が張るフラッグシップモデルが多めでしたが、君にとって「これを使ってみたい」というペンを見つけられたなら文具好き冥利に尽きます。ちなみに、「書く」創作者は往々にして「読む」事も大好きです。もしも君が羽ばたくような書きぶりで文具記事をしたためたなら、是非ボクに教えてください。ミミズクの速度で拝読に向かいます。

 今夜はここまでにしておきます。ボクの翼がそれを望んだ時に、また君のもとに戻ってきます。

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