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文献レビュー: ウォーノック報告書から40年 - イギリスにおける特別教育ニーズコーディネーターの実践


執筆者: Rosanne Esposito, Catherine Carroll


特別教育ニーズコーディネーター(SENCO)は、イギリスの教育現場で重要な役割を果たしています。彼らの役割は、1978年に発表されたウォーノック報告書以来、大きな変革を遂げてきました。この記事では、ウォーノック報告書から40年を経た現在のSENCOの実践について、Rosanne EspositoとCatherine Carrollの研究を紹介します。

ウォーノック報告書の影響

1978年のウォーノック報告書は、特別教育ニーズ(SEN)の概念を広げ、教育のインクルージョンを推進するための重要な提言を行いました。報告書は、全ての子供に教育の権利があることを強調し、早期の効果的な識別と評価、親とのパートナーシップの重要性、教師の継続的な学習と発展の必要性を掲げました。

SENCOの役割の進化

1994年には、イギリスの主流学校におけるSENCOの役割が正式に確立されました。そして、2009年には、全ての新しいSENCOは就任後3年以内に特別教育ニーズコーディネーションの大学院資格を取得することが義務付けられました。この資格には、実践者研究の要素が含まれており、SENCOは理論と実践を結びつける機会を得ています。

研究の目的と方法

この研究では、2015年から2017年にかけて、イギリスの一つの大学で実施されたSENCOの大学院資格プログラムにおいて、50名のSENCOが提出した100件の課題要約を分析しました。データはNvivoを使用して主題分析され、SENCOの実践を支える4つの主要なテーマが明らかにされました。

主な発見

  1. SENCO実践の多様性:

    • SENCOの実践は非常に多様であり、彼らが支援する生徒や教育者の範囲も広い。リテラシーや社会的・感情的なニーズを持つ生徒の支援、教員や支援スタッフとの協力などが含まれます。

  2. 意味のある評価:

    • 生徒の学習成果やスタッフの知識・スキルを評価するために多様な方法が用いられており、これにより包括的な理解が得られています。

  3. エビデンスに基づく実践:

    • SENCOは、エビデンスに基づいたアプローチを採用しており、これは特定の研究成果に基づくものです。

  4. インパクトの評価:

    • 学校資源の効果的な利用を確保するために、インパクト評価が重要視されています。提供するプログラムや介入の効果を測定し、それに基づいて改善策を講じています。

結論と今後の展望

この研究は、SENCOの役割が非常に多岐にわたることを示しています。彼らは、生徒の多様なニーズに対応し、教育現場での包括的なアプローチを推進するために重要な役割を果たしています。今後は、SENCOの役割を支援するための時間とリソースの確保、親との連携の強化、そしてSENCO自身の福祉を保護するための専門的なサポートが求められます。


この研究を通じて、特別教育ニーズコーディネーターの重要性とその実践の多様性について理解が深まりました。SENCOの取り組みは、特別教育ニーズを持つ生徒が平等に教育を受けられるようにするための鍵となるものです。


ウォーノック報告は本当に影響のある者だったんだなぁと改めて感じる論文。

SENCOが2009年には修士課程レベルの資格になっていることからも、イギリスでは有資格者の質保証をとても大切にしているように感じます。
そして、何より、SENCO自身の福祉を大切にしているところも、人を大切にしている仕組みでいいなーと。
日本以上に、移民問題を含めた社会の複雑な問題に直面しているイギリス社会を支える教育者たち。
彼らがきちんと教育を受け、彼らが誇りをもって役割をはたせる、担える社会というのは我々も見習いたいところ。

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