訓練の仕方その2 森田療法
こんにちは、河村尚弥です。
今回は、「訓練の仕方その2」を書かせていただきます。よろしくお願いいたします。
森田療法
森田療法は1920年頃、20年の年月をかけて森田正馬(まさたけ)先生が一人で考えられた療法です。
(森田正馬:1874年(明治7年)〜1938年(昭和13年))
当時森田先生は「神経質症に対する特殊療法」と呼んでいましたが、後年弟子たちが「森田療法」と呼ぶようになり現在に至ります。
森田療法は、強迫性障害、パニック障害、社交不安障害に有効と言われています。
森田療法の考え方
「森田用語」を少しだけ紹介してみます。
●とらわれはあるがままに目的本位になすべきことをなす。
「とらわれ」は「症状」と置き換えてもいいです。
「今とらわれている気分」と考えてもよいです。
それらを排除しないでそのままにし、その行動をする目的を行なっていく。行動本位にやることを行っていく、ということです。
●恐怖突入
恐怖から逃げないで突入する。
日常生活の中で恐怖に出くわしたら逃げないで恐怖に突入する、ということです。
●自然服従(しぜんふくじゅう)
自然という言葉には、海や山、天候などの環境だけではなく、体や感情も含まれています。
自分の現在の境遇を受け入れて、そのことに対して不安や恐怖、絶望、抑うつを感じることも「自然に生きる」ことだとしています。
そうした環境や状況を避けるのではなくひとまず受け入れ、そのなかで最大現の努力をすること、逃げ出すのではなくてよりよくするために行動することが、自分の天命だと考え、行動するのが森田のいう「自然服従」です。
(自然服従の部分は引用:『よくわかる森田療法 心の自然治癒力を高める』中村敬 著 主婦の友社 P115「自然に従って生きる」)
現在の私から見た、私の強迫と森田療法
不潔恐怖が強くて薬が飲めなかった頃の自分
弟子が森田先生に「恐怖突入は何回すればいいのでしょうか?」と聞くと、先生の答えは、「恐怖突入は繰り返し何度でも、慣れるまで行う」ということでした。
恐怖突入は、逃げないで恐怖に入っていくことです。強迫観念は、元々はないことを怖がっているので、そこに入っていっても何も危険はありません。
私は、「歩いている間に持っていた薬が不潔になってしまった」という感覚にとらわれ、薬を飲めない時期がありましたが、その恐怖の中でも薬を飲むのが、恐怖突入です。
入院による森田療法では、治療のため、日常生活で様々なことを行ないますが、その中に外来のトイレ掃除がありました。
私は、「外来のトイレ掃除が怖いです」と主治医に言ったことがあります。
主治医は、「泣きながらでもやりなさい。」といいました。
(ほんとうは、森田療法では症状の話、症状周辺に関する愚痴なども一切話してはならないというやりかたなので、話をしてはいけなかったのですが…)
ズボンのすそにガラスがついてきたのではと思っていた頃の自分
ガラスがついてきた感覚にとらわれたときにも、今の作業、次の作業を行っていけばそのとらわれ、感覚には慣れます。そして強迫観念は流れていきます。
車を運転していて人をひいてしまったのではないか?と思っていた頃の自分
まさにこの症状が起きたときこそ「とらわれはあるがままにし、目的本位=行動本位になすべきことをやっていく」、そして恐怖が沸き起こったらその恐怖に突入し慣れてしまうことが大切です。
大切なことは、症状を取り除くことではありません。症状を無くそうとするのではありません。
強迫観念と相撲をとらないことが大切です。
症状はあるがままにし、行動の目的を本位に行っていくと、とらわれから解放されます。それに慣れるとこちらのものです。
逆に、強迫観念と相撲を取ると、強迫観念は風船が大きくなるように膨らんでいきます。
症状はあるがままにして目的本位の行動をします。目的本位=行動本位です。
「人を轢いてしまったかも」と感じても、ミラーで人が倒れていたか確認しない。車で引き戻り確認しない。頭の中で反芻させない、ということです。
あるがままに受け入れてやるべき今の行動をしていき、次の行動をしていくと敵(強迫観念)に捕まらなくなっていきます。
一方で強迫観念をあまり敵視することも、とらわれに陥りやすくなりますので、力を抜いてとらわれはあるがままにしましょう。
ガソリンスタンドでバッテリー液がくっついてくると思って恐怖していた頃の自分
怖いままに目的本位に、ガソリンスタンドで給油するという本来の目的を行なうことが大切です。
その後も目的本位に次の行動へ移行していくことが大切です。恐くても給油が出来たら合格です。症状に関することを口に出してもいけません。
読んでくださりありがとうございました。
次回は、訓練の仕方3を書かせていただきます。
参考文献
「あるがままに生きる」 大原健士郎著 講談社
「よくわかる森田療法 心の自然治癒力を高める」 中村敬著 主婦の友社
「森田療法」 岩井寛 講談社現代新書
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?