行動療法のお話の続き
こんにちは、河村尚弥です。
前回のブログで、行動療法の中でも特に強迫性障害に有効な方法である「曝露反応妨害法」について説明をしました。
今回は、今までのブログでご紹介してきた、私が若いころ経験した症状を例にあげて、曝露反応妨害法でいえばどんな対処方法があったかを書きたいと思います。
現在の私からー手洗いが大変で止まらなかった時は、強迫観念にだまされないで手を洗うことをあえてしないことが大切です。(反応妨害法)
前回のおさらいですが、症状を改善させるためには、苦手と感じてこれまで避けていた物をあえて触ってみることが大切です(曝露法)
そして、その後、すぐに洗わない、拭かないといったことをします。(反応妨害法)
加害強迫の場合の対処法
私が若いころに経験した、「車で人を轢いたのではないか」と思っていた時期には、避けていた道をあえて通り(曝露法)、そして車で人を轢いたと思った時は一度だけ確認して何回も確認に戻らないこと。また、ミラーで確認したり、記憶のなかで反芻して確認することをしないようにするとよかったのです。(反応妨害法)
バッテリー液がついてくると感じた時の対処法
ガソリンスタンドでバッテリー液がついてくる感じがしていた頃の自分は、「強迫脳」が送ってくる間違ったメッセージに騙されないぞと思うとよかったです。
ガソリンスタンドにあえて近づいてみることで、バッテリー液がついてきた感覚になります。(曝露法)
そして、そのときに洗ったり、拭いたり、他人に「安全であるか?」と確認しないという練習方法をとると良いです。(反応妨害法)
確認強迫は瞬時に強迫行為ができてしまうという特徴がある
私は、扉やドア、玄関の鍵、電気のスイッチ、ガスの元栓などの確認が止まらない、確認強迫の症状のあった時期もありました。
確認強迫の場合は、すぐに目で見て先行刺激となる対象物が視野に入るため、瞬時に強迫行為=儀式行為を行ってしまいがちです。先行刺激となる対象物とは例えば、玄関の鍵、ドア、扉、ガスの元栓などです。つまり目で見ただけで「閉まっているかどうか?」など、繰り返し確認に入ってしまいがちだということです。
これは、強迫行為です。この行為を行っているうちは、なかなか良くなれません。
確認強迫は、不潔恐怖よりもすぐにできてしまうという特徴があります。例えば不潔恐怖で手洗いが止まらない場合には、
・蛇口を見る
・蛇口をひねる
・水を出す
・石鹸をつける
・手洗いを始める
と、手洗いという強迫行為を始めるまでにいくつか段階があります。
確認強迫の場合、「見る」という行為そのものが、目視確認を繰り返すというように悪化要因である「確認行為」となってしまいます。より短時間で強迫行為をしてしまう分、厄介であるともいえます。
どんな強迫症状も、行為・行動を変えることが大切
私達がコントロールできて、変えていけるのは、行為・行動です。
強迫症状は、行動で止めていきます。
確認の回数をコントロールします。
確認は時間で減らす、回数で減らしていきます。でもこれもなかなか大変ではあります。
ほんとうによくなりたい過去の私へ
そして今読んでくださっている皆様へ
確認は一回だけにしましょう。
大変のように思われるかも知れませんが、強迫行為で何十回も確認し玄関を出てもまた部屋の中に入ってきて確認をしている時に比べて楽になれます。
意識的に一回確認し、その場を離れましょう。確認できるようにとスマホで写真を撮るのをやめましょう。これも強迫行為に該当します。
一回確認するとしんどさはやがて流れていき、その違和感に慣れていきます。
次回は「訓練の仕方その2」を書かせていただきます。読んでくださりありがとうございました。
参考文献
●「強迫性障害の治療ガイド」 飯倉康郎著 二弊社
●「認知行動療法という革命 創始者たちが語る歴史」 ウィリアム・T・オドナヒュー他著
●「強迫性障害の行動療法」 飯倉康郎編著 金剛出版
●「強迫性障害からの脱出」 リー・ベアー著 晶文社
●「強迫性障害を自宅で治そう!」エドナ・Bフォア博士&リード・ウィルソン博士著 VOICE
●「行動療法」 山上敏子著 岩崎学術出版社
●「手を洗うのが止まらない」 ジュデス・ラパポート著 晶文社
●「不安でたまらない人たちへ」 ジェファリー・M・シュウォーッ著 草思社
●「妄想に取り憑かれる人々」 リー・ベアー著 日経BP社