強迫性障害の対処法①行動療法
こんにちは、河村尚弥です。今日は強迫性障害に対する対処法、トレーニングの方法について書かせていただきます。よろしくお願いします。
前回、私の経験談として書きましたが、私自身は九州で6ヶ月間の行動療法、静岡で6ヶ月間の森田療法を受けてきました。また、東京では3か月の入院、3年の通院で認知行動療法を受けてきた経験があります。これらの治療現場で多くを学ばせて頂きました。
強迫性障害の治療には、行動療法は有効です。「強迫性障害の治療ガイド」( 飯倉康郎 P3)には、積極的に行動療法を行った患者の75%がほぼ治癒していると書かれています。
行動療法の夜明け
1959年に欧州でアイゼンクが、そして1958年に南アフリカでジョセフ・ウォルピとラザルスが、1953年には米国でリンズレイ・スキナー&ソロモンが、それぞれ行動療法という新しい用語を使った。
(「認知行動療法という革命 創始者たちが語る歴史」 ウィリアム・T・オドナヒュー他著 日本評論社 P190)
日本への導入は九州大学の山上敏子先生によります。山上先生はテンプル大学に留学をされ、ジョセフ・ウォルピ博士から1969年〜1970年に学ばれて、帰国されたのです。
私は、1997年に山上先生を頼って九州へ向かいましたが、山上先生の弟子の先生が主治医になりました。
曝露反応妨害法
行動療法はさまざまな技法がありますが、その中で特に「曝露反応妨害法」が有効です。これは、曝露法と反応妨害法を組み合わせたやり方です。パニック障害の場合、曝露法のみを行いますが、強迫性障害の場合は両方を組み合わせて行います。
曝露法(ばくろほう)とは:苦手と感じてこれまで恐れたり避けたりしたことに、あえて立ち向かいます。不安が下がるまで続けて行います。
【曝露法の例】
① 不潔恐怖の場合Aさんは、汚いと思った物を触る練習をしました。
②確認が止まらないBさんは、鍵が閉まっているかを繰り返し確認してしまうのですが、心配でも鍵を締めて外に出る練習をしました。
③ 車を運転していると人を轢いたのではないかと不安になる、加害強迫のCさんは、怖くても車の運転を続ける練習をしました。
④ 一行も漏らさずに本を読めたか気になるDさんは、読むのを避けていた本をあえて読む練習をしました。
反応妨害法(はんのうぼうがいほう)とは:これまで不安を下げるためにしてきた強迫行為を、あえてしないことです。
【反応妨害法の例】
① Aさんは、手を洗わない練習をします。
② Bさんは、ドアの鍵を繰り返し確かめない練習をします。
③ Cさんは、車で人を轢いていないか確かめに行かないようにします。
④ Dさんは、同じ所を繰り返し読まないようにします。
曝露反応妨害法(ばくろはんのうぼうがいほう)とは
苦手と感じてこれまで恐れていたことにあえて立ち向かい(曝露法)
これまで不安を下げるためにしてきた強迫行為をあえてしない(反応妨害法)
この2つを組み合わせたのが、曝露反応妨害法です。
【曝露反応妨害法の例】
① Aさんは、汚いと思うものを触ってその後、手を洗わない
② Bさんは、心配でも鍵を締めて外に出て、その後ドアの鍵を確かめない。
③ Cさんは、恐くても車を運転して、その後人をひいていないか確かめに行かない。
④ Dさんは、読むのを避けていた本を読んで、わからなくても先に進む。
厳密に言うと 強迫観念を引き起こす先行刺激に、不安が下がるまであえて持続的に直面する方法です。
恐れていることに直面すると始めは不安が上がることがありますが、持続的に直面すると必ず不安は下がります。
(引用と参考文献:強迫性障害の治療ガイド 飯倉康郎著 二弊社)
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