CSとして持つべき"視点"と"ステイクホルダー"の話 ~約400名にヒアリングをした上での次にどうするか?~
3年ぶりにnote を書くきっかけとなった去年に引き続き、
「CS HACK Advent Calendar 2022」の一環として、書きます。
去年書いた記事
↑の記事で最も伝えたいことは、↓のポーズの由来です。
初めまして、株式会社Unito の辻です。
(なぜunito に入ったか?という個人的な部分については、こちらに書いてます。)
unito とは?
「暮らしの最適化の追求」をパーパスとした株式会社Unitoは、宿泊施設と宿泊者をマッチングするプラットフォーム事業「unito(ユニット)」を展開しています。
滞在頻度に合わせた家賃の支払い(外泊すると家賃が下がる)と「リレント」という料金システムが最も特徴的なサービスであり、また、1ヶ月から契約可能・家具家電など軽やかな住まい「unito」として、ホテルや賃貸物件とユーザーをつないでいます。
unito のCX (顧客体験) という視点でインタビューされた記事があるので、
そちらからもunito についても見てもらえると詳細のイメージが湧くと思います。
自分がカスタマーサクセスをやった経験=Unito での勤務経験
なのですが、1年やった上気づいたことについては、こちらの記事でまとめています。
要約すると、「CSをやる上で、一番重要だと考えることは、事業理解に尽きる」という内容です。
今回は、その内容を発展させて、CSとして持つべき"視点"と"ステイクホルダー"の話について書きます。
会社のフェーズ・位置付け
事業によって求められるCSとしての期待役割は変わってきます。
まず会社をみる上で、「フェーズ」と「事業」の2軸があります。
自分は、9人目の社員としてUnito に入社しました。CSの社員は、入社時も今も2名の体制で行っています。
仮に、CSが10名以上チームなのか、2名なのかによって純粋にやるべきことが変わります。2名でやるとはどういうことかというと、簡単にいうと、全部やります。
個人的な理解として、
去年は、サービス検証の1年(2021/8-2022/7)
今年は、グロースの1年(2022/8-2023/7)
として位置付けています。
「サービス検証」
そもそもサービスに価値があるのか?
ユーザーが抱える課題が本当に存在するか?
実際にどのように使っているのか?
そもそもサービスが成立するのか?
どこに勝ち筋があるのか?
など、プロダクトとしては、できる限り最小の状態・機動力/柔軟性の高い状態で、検証を続ける。
プラットフォームの事業部長である玉木さんがその詳細について書いています。
自分としては、「とにかくユーザーの一次情報に触れ続けること」に一番にこだわって、直接声を聞くことをやり続けました。
unito に入社してからの1年半で、約400名もの数の実際にunito を使うユーザーの方々に話を聞き続けました。
「リレント」という仕組みを理解して使ってもらうために、現状どう理解されて、unito があることでどんな生活の変化が生まれそうか、実際に生まれたのか、を聞くこと。
サービスとして未熟な状態であるからこそ、とにかく材料となる課題をとにかく集める。その上で、何をどんな順番で、できるようにするかを決める。
「グロース」
そして、現在進行形で、対峙しているのが、グロース。
利用するユーザーが増えたとしても、サービスとしての提供価値を落とさないこと
事業に関わる人数が増えたとしても、成立する仕組みを作ること。
人の手を介すべき点と、人の手を介さないべき点を、切り分けて、サービスとしての強みを尖らせながら、かつ事業として成立する投資対効果を証明する。
利用する人の数が自然と伸びるために、サービスをどう広げるか?また、持続可能に使ってもらうために、1度利用してもらった人が使い続けるか否か。
まさしく、現在進行形で、この部分に向き合っているところです。
求められる期待役割の変化のスピードが早いこと。
こそが、サービスを立ち上げる今のフェーズで求められる醍醐味の部分であり、変化を喜んで受け入れる必要がある。
変化を喜んで受け入れるとは、主語をどこに置くか。
「自分はこれをやってるから、そんなこと言われても」という
"CSが担っている業務" を主語にするのではなく、あくまで"事業" を主語として過去やってきたことを捨てられるか。
自分がやってることにこだわりを持つのではなく、顧客に持続可能に価値提供すること。そもそも事業として成立しなければ、ゲームオーバーです。
視点
事業の成長に寄与できるCSとして、必要となるのが、適切なタイミングで、適切な視点を持ち続けられるか。
この視点のスイッチを、面白い番組のテレビのチャンネルを変えるが如く、切り替えていくこと。
それができるために、自分が関わっている事業に必要となる視点は何か?を整理する必要がある。
サポートの視点
ステイクホルダーの困りごとを解消していくこと。
サービスとして期待されるからこそ、そのギャップとして困りごとや、不満が発生する。
そもそも期待もされていなかったら、サービスに対して、不満を抱く必要もない。
同じ困りごとが発生しないよう、サービス運営をする上で、どのようなオペレーションにするか。
原因を突き止め、プロセルの改善をし続けることで、困りごとをそもそも発生させないようにする必要がある。
ここは地道にコツコツ、泥臭くやる。
マッチングの視点
利用者を増やすため、最適なマッチングを生み続けること。
情報過多の中、ここからあなたに最適なものを見つけてください。
と言われても、発見するためのコストがかかりすぎる。
かつ、to C のユーザーは、日頃最強のレコメンドシステムに慣れているので、発見することに、コストのかかる行為を好き好んでしてくれることはない。1タップで離脱して、2度と使わない可能性を常に持っている。
なので、モドリッチ・イニエスタのように、うまくアシストをすること。
プラットフォーマーの視点
どのような仲介者としての役割を果たすか。
プラットフォーム事業であるからこそ、最小の1対1 の関係性に留まらず、1 対 n ・n 対 n の関係性が発生します。
その際に、仲介者としてどんな振る舞いをするか。そもそも仲介者としての介在価値は何なのか。
個人的には、自然なルールにできるかどうか。が肝だと考えています。
シンプルな機能だが、多くの人の幅広いユースケースに最終的に対応していける自然なルールであるか。
Google も、機能としては、「文字を入力する」「検索結果が出る」「URLに飛ぶ」というシンプルなものであるが、それを活用できる人の幅が膨大であることは想像できると思います。
サービスをやる上で問題は、少なからず、発生するものです。
その際に、プラットフォーマーとして何を判断軸にルールメイクをするか。
(個人的に、プラットフォーム・ビジネスは取引が発生して、積み重なっていくためには、難易度の高さも感じていますが、だからこその面白みがあるとも思っています。「プラットフォーム革命」 は、プラットフォーム事業に関わる人間は読むべき一冊です。)
グロースの視点
人の手を介さずに、より多くの人に価値を届けられるかどうか。
このグロースの観点においては、あえて頑張らない。
勘違いしてはいけないのが、サポートを頑張らないではなく、より多くの人に届けるために頑張らないこと。
「グロースハック」とは、、
「エンジニアリング × マーケティング」の視点=グロースハック
と、「グロースハック完全読本」に書いてたと理解しています。
つまり、仕組み・システムによって、自然と伸びる状態を作れるかどうか。
法律の視点
そもそも業を行う立場として絶対に理解しておくべきことで、unito では、「宿泊」に関する業法・「賃貸」に関する業法・「民泊」に関する業法など、リアルのアセットを取り扱うからこその踏まえるべきことがあります。
と、CSをやる上でのいくつかの観点を出しましたが、テレビのスイッチのように、この視点を切り替えられるような器用な人間ではないので、
社内のステイクホルダーとコミュニケーションを取るときに、今はどの視点で誰と話しているかということを踏まえてやることが大事になります。
ステイクホルダー
社内と社外で分かれてきますが、意外と書いてる量が膨大になってきたので、社内に特化して、一言ポイントを書いていきます。
ここがまさしく「会社のフェーズ」ではなく「事業」の特有な部分にあたります。
セールス
unitoにおいてのプラットフォームにおける在庫を獲得する役割
プラットフォームに在庫がなければ、どれだけのユーザーがいても、マッチングが成立しません。
現在のunito において必要な在庫ってどういう在庫か
その在庫が、どんな特徴を持っており、どんな使われ方に最も寄与するのか
施設事業者であるからこそ、その事業・法人としての利益を担保した状態でないと、持続可能にはならない
主に、「マッチング」の視点で、プラットフォームを伸ばすために、濃密な連携が必要となります。
直営
unito の独自性の1つとしてあるのが、直営事業部とプラットフォーム事業部の2つがあること。
1つ1つの物件の収益性も求められる中で、unito のフラッグシップ(旗艦店)・象徴となる存在
unito を通して、どんな暮らしを実現できるようにするか。
現在も、物凄いスピードで、物件開発から、運用までが、日々行われています。
この直営⇄プラットフォームの行き来が、更なるunito 事業の独自性へとつながります。
プロダクト
サービス検証の段階では、とにかく最小の機能として進め、
この1年で、サービスに最も必要な機能が徐々に揃ってきています。
八尾さんが入社してからどんなフェーズとイシューを設定し、今に至ったかについて、詳しく書かれているので、こちらをご覧ください。
このプロダクトとの連携なくして、「グロースの実現」はできないので、この半年間は、よりCSとしてプロダクトチームと連携して、日々進めています。
マーケティング・PR
unito との最初の接点・サービス自体の期待値を作っている役割
初めの顧客接点があるからこそ、その後の利用に繋がってくる。
様々なチャネルがある中、日々改善を行いながら、最適なタイミングと投資の判断を行っていく。
顧客の一次情報に触れるCSだからこそ、気づくことができる小さな予兆から、大局観を読めるパスをしていく。
バックオフィス
unito の特徴として、「家賃が固定費ではなく、変動費であること」が、サービスの肝の1つです。
つまり、どうなるかというと、管理の難易度が莫大に難しくなります。
サービスをスムーズに提供し続けるために、その裏側の部分
しっかりとした守りがあるからこそ、大きく攻めることができます。
例えば、施設にとっては、稼働率と単価の観点で、unito を利用することで、利益が上がるロジックがあり、それをわかりやすく、リアルタイムで、アクセスすることができる状態を作る必要がある。
以上、ざっくり、CSとして持つべき"視点"と"ステイクホルダー"の話について書いてきました。
今日書いた内容は、あくまで一部を抽出したものであり、完全に網羅している訳ではありません。
冒頭にも書いた通り、CSとしてパフォーマンスを出すためには、事業理解が必須であり、なおかつ、会社・事業によって求められる期待役割は変わってきます。
つまり、会社によってCSとしてやるべきことが大きく変わり、かつ他社事例があまり参考にならないこともあります。
だからこそ、
- どんな視点を持つべきか?
- どんなステイクホルダーがいるか?
について、整理をすることで、皆さんの日々の業務が少しでも明るくなれば幸いです。
最後に、改めて理解しておくべきこととして、
CS単体で成り立つことはないことがあります。
どの役割を果たすかは事業によって大きく異なりますが、
誰よりも事業を理解し、重要な役割を果たすこと。
まだunito もこれからの会社ではありますが、ここからの「総力戦」も、全力で進めていきます。
少しでも興味がある人は、ぜひ気軽にご連絡ください!
p.s.
5000文字超えてました。