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アテネの数日 025 第二章-5 フランシス・ライト著
「私が師の慈悲深さに文句を言うべき立場ではないのは百も承知です」とメトロドロスが顔を赤らめて言った。「ただ、師が私を救ってくださった過ちとは異なる種類の悪徳もあります。それらは、たとえ私の過ちよりも軽いものだとしても、誘惑が少ない状況で犯されるため、自らの意思で選んだ悪だからこそ一層許しがたく、無知ゆえではなく計算による堕落である分だけ、なおさら忌まわしいのです。」
「我々は、自分の欠点を批判するときでさえ、それを少しは軽く見がちなものではないか?」と賢者は言った。「そして、自分の欠点を他人の過ちと比べることが、自尊心を満たしてくれることはないだろうか?」
弟子は体を乗り出し、テーブルに手を置く師の手元に顔を寄せ、赤く染まる頬をその手に触れさせた。
「私は自分の過去の過ちを正当化しようとしているのではありません。むしろその罪深さをしっかりと直視したいのです。若き日の過ちが重ければ重いほど、今の私が師に返さねばならない感謝の重みも増すというものです。でも、教えてください」と彼は優しい師の顔を見上げた。「私の魂に、卑劣や欺瞞はなかったでしょうか?感謝や愛情に偽りはなかったでしょうか?」
「いや、そんなことはない、息子よ」とエピクロスは微笑み、目に涙を浮かべながら答えた。「君の心は、悪徳によって温かさを失うこともなく、魂の純真さが曇ることもなかったのだ。ただ、もしもう少し悪の杯に酔い続けていたなら、どうなっていたかは誰にもわからない。いかなる人間も、悪徳の杯を無事に飲み干すことなどできないのだからな。
しかし、君はこう思うかもしれない。あまりにも卑劣で忌まわしい性質を持つ者は、善き者たちとの交わりから外れるべきだと。悪意、残酷さ、欺瞞、恩知らず――こうした犯罪は、犯した者に対して嫌悪、呪詛、軽蔑以外の何をも引き起こさないと。
だが、それらの性質がもともとその人の心に備わっていたものであるとは限らないのだ。幼少期に受けた悪影響や誤った手本が、その人が生まれ持った善き素質を歪め、芽吹き始めた美徳の花を押しつぶしてしまったのかもしれない。
考えてみてほしい。我々は我が兄弟の道徳的な病を哀れみ、その回復を助けようとすべきではないだろうか?さらに、もし悪が治癒不可能で、心が永久に歪み、根っこから腐ってしまっているとしたらどうだろう?
その場合、我々の哀れみは一層深まる。なぜなら、その人は、過ちを正す希望すらないがゆえに、完全に不幸だからだ。ああ、我が子たちよ。邪悪な者は他人に害をもたらすかもしれないが、彼らが自分で感じる苦しみに比べれば、それは微々たるものだろう。私は確信している、人の心を引き裂く苦しみの中でも、悪しき情念に支配されているときの苦しみに勝るものはない、と。」