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【臨床日記】骨盤の真ん中ってどこ?〜前後傾問題〜

反り腰だの後傾だの、骨盤は何かと迷宮入りしやすいところですね。
中枢の座位訓練でも骨盤を起こす時にどこまで起こせばいいか悩みながら臨床をしている人も多いでしょう。

インストラクターなどの運動指導者も同じく、骨盤の真ん中というのはどこなのか分からず、前後傾してその真ん中で止めてとか、恥骨とASIS が床と垂直とか、ASIS とPSISはPSIS が二横指分高いとか、色々な指標を持ち出して、あぁだこぉだやっているのでしょう。

腸骨には回旋偏位があることがあります。
そうなると左右違う高さでどの指標を使えばいいのでしょう、、、、。
骨盤の形状は人それぞれで、平均値では言えないものです。
前後傾して見つかるようなものではありません。

これらの指標はあくまでも目安であって、それが即ちその人の正常な位置というわけではありません。

じゃぁどうするの?ということですよね。
簡単です。
股関節でみればいいのです。

そもそも、発達の中で子どもは骨盤の前後傾をして立てるようになったのでしょうか。
違いますよね。
つかまり立ちをするようになって、そこで前後傾したのでしょうか?
してません。

赤ちゃんは、大腿骨頭の上に骨盤を乗せようとバランスを取ってるだけです。
だからすぐに転びます。
バランスが取れないから骨頭から落ちるのです。
筋力で固めているわけでも、服圧を上げているわけでもありません。

骨盤の真ん中というのは、骨頭の上に骨盤、上半身がきれいバランスを保って乗っている状態のことです。
ですから、骨頭と骨盤の関係を見ればいいのです。
つまり股関節ですね。
これは関節のニュートラルという概念を知れば至極当然の原理です。

ヒトは、垂直に立つことで、思考のバランスと最小限の筋力で動けるという戦略を手に入れたのです。
無駄に筋力を使って動く必要はありません。

また、発達でやっていないことは大人になってもあまり必要ないでしょう。
ヒトやヒトの運動機能を考えるときに、マクロの視点がとても大切です。
どうも、専門家やマニアックな人たちはミクロに価値があると思い込んでいる節があります。
ミクロも大事ですが、マクロの俯瞰した視点も物事を整理して効率的に考えるにはとても大切なのです。

マクロの視点は、生物学、発達学、進化学、比較解剖学などが教えてくれます。
こういう広い学問を通して、俯瞰した原理原則のようなものをもっと取り入れていけるといいですね。

ちなみに、座位で骨盤の正中を見つけるのは難しいということも分かりますよね。
座位では骨頭が関係ないからです。
ヒトは座る動物ではなく、立って歩く動物です。
脊柱や骨盤のニュートラルは座位ではなく、立位で見つけるのが原則です。
そういう意味でも、座位で頑張って見つけようとするから、迷宮入りしているこということも理解しないといけませんね。

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