【書籍紹介: ロビンソン・クルーソー】
ダニエル・デブォーの「ロビンソン・クルーソー」を紹介します。
ダニエル・デフォー(1660〜1731)による「ロビンソン・クルーソー」は、イギリスのヨーク生まれの主人公が冒険心からアフリカの海岸に向かう船に乗り込むところから始まります。海賊に捕まって奴隷となり、ポルトガル船に助けられたり、嵐に遭遇して船が漂流するなど激しい展開をします。
ロビンソン・クルーソーはイギリスを出帆し、カリブ海の南、現在の南米ベネズエラ北の無人島に漂着します。そして、誰もいない無人島で実に28年の歳月を過ごすことになります。物語は、この無人島で主人公がどのように歳月を過ごし、何を考えたのかを描いています。
「ロビンソン・クルーソー」を読むには世界地図は必需品です。必ず、手元に世界地図を置いて読むことをオススメします。
ロビンソン・クルーソーが漂着したのは、地図でいうと南米大陸の「ガイアナ」と表記されている場所の北にあった無人島とされています。地図の赤丸で表示した地域を「小アンティル諸島」と言います。その1番大陸寄りの、今で言う「トリニダード・トバコ共和国」のどこかの島だったのではないでしょうか?
「ロビンソン・クルーソー」は1719年に刊行された本です。初版から実に300年以上読み継がれている古典です。そして、この本には「資本主義」の成立していく過程が事例に基づいて描かれているとされています。カール・マルクスは著書「資本論」の中で、マックス・ウェーバーは著書「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」の中でこの本を引用しています。決して子供向けの冒険物語ではないのです。
ちなみに、作者ダニエル・デフォー(1660〜1731)は時代でいうと絶対王政期のフランス王ルイ14世(1638〜1715)とほぼ同時代を生きた人物です。
文学の世界では、劇作家のシェイクスピア(1564〜1616)はイギリスを代表する作家です。むしろ、「人類」を代表する作家と言えるかもしれません。しかし、僕はダニエル・デフォーもシェイクスピアと同様の評価を受けるべき素晴らしい作家だと考えています。
1719年の発刊当初の書評を紹介しておきます。
「船が難破し、ただひとり生き延びて海岸に打ち上げられ、アメリカの沿岸はオリノコの大河の河口近くの無人島で、ヨークの船乗りロビンソン・クルーソーの生涯と、珍しくも驚くべき冒険の数々、ならびに、奇しくもついに海賊の手により救い出された顛末について、本人が記した物語。」
「ロビンソン・クルーソー」を読むことの意義は下記の通りです。
①無人島でもひとりで生き抜く主人公の姿勢を学べる。
②大航海時代のアフリカ航路について理解できる。
③限られた資源をどう活用するかという経済感覚が学べる。
「大航海時代」について調べること、そこから派生したことを考えることは自分にとってはほぼライフワーク化しています。
「奴隷貿易」「資本主義」、黒人ブルースをルーツとする「ロックミュージック」「ジャズ」。全てがその時代から今に続いていると思うからです。尽きせぬテーマがあります。
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