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お肉配達のお兄さんと画家のお兄さん

カフェで働き始めて1年半が過ぎた

大学時代、アルバイトをするならカフェはないだろうな。つまらなそうだから。と選択肢にも入っていなかったことを思い出すと、カフェで働いていることがとても不思議。

同じような日々でも、自分の心もちと、その時に来てくれるお客さんによって毎日違う気持ちにさせてもらえるので、案外カフェの仕事は面白いなと思います。

お客さんとは深く話せるわけではないけれど、小さな会話やお客さんの様子からいろんな物語が見えてきたりします。(勝手に想像しているとも言えますが)


ただいま、お昼の休憩中です。
沢山まかないを食べて満腹になりました。
カフェで働く中での喜びの1つは、まかないを沢山食べれることかもしれません。作って提供する側ではありますが、作ることよりも食べることの方が本当は好きです、、、。

そんな私は、基本怒りという感情が少なく穏やかなのですが、お腹が空くと口数が減り、不機嫌になっていきます。空腹にはとても弱いです。私の強敵です。
ある友人からは、誕生日プレゼントに「わたしを空腹にしないほうがいい」とタイトルの本をもらいました。

お腹が空くと不機嫌になってしまう性格を嫌だなぁと思うこともありますが、そうならないように、朝ごはんを沢山食べます。私の朝ごはんは夜ご飯の量よりも多いことが多いです。自分がなるべくご機嫌でいるために自分の扱い方も少しずつわかってきたので成長しているということにしておきます(笑)。

そんなこんなで、満腹で気分がとても良い今です。
お店の話に戻ります。

今日も、お肉の配達のお兄さんがお店にやってきました。カフェではランチプレートを出しているので、それに使うお肉やお魚、野菜は業者に発注しています。

エリアごとに担当が分かれているらしく基本同じお兄さんが配達にきてくれます。そのお兄さんの挨拶が毎回ほんとうに気持ちがよく、「ありがとうございます!」「お疲れ様です」だけでこんなに気持ちを明るくさせてくれるのはすごいなと思います。時々、いつもの挨拶に加えて少し雑談できたときは、さらにほっこりした気持ちになります。


今日もいつもと同じように気持ちよく挨拶を交わして、去っていくお兄さんを見て、ふと、ある画家さんを思い出しました。私のお気に入りの画家さんです。


初めて、その画家さんの絵を見たのは、長野に訪れた時に宿泊したゲストハウスのbarに飾られた絵でした。色使いと優しい雰囲気が私の好みで、思わず、barの店員さんに、画家さんについて話を聞きたくて声をかけてしまいました。


すると、その画家さんはそのゲストハウスの横にある蔵をアトリエにしているようで、その日も個展に向けて作業しているとのこと。barのスタッフさんにアトリエに案内してもらうことになりました。素敵だなと思った、その日に、その画家さんに会えるなんてついているな私、と思ったことを覚えています。

アトリエに行くと、画家のお兄さんが黙々と作業をしていました。
自分の絵が印刷された紙を一枚一枚丁寧に蜜蝋でコーティングして、個展で販売するブックカバーを作っているところでした。忙しそうだったので、その日は気に入ったブックカバーを何枚か買わせていただき、翌日の個展で改めてお会いさせてくださいと挨拶をして、その場を後にしました。

翌日、その方の個展でじっくりお話をしました。その時の会話は今でもよく覚えています。

その画家さんは、画家をする前は、大学を卒業後、ごみ収集の仕事を12年間していたそうです。友人のお父さんの会社を紹介され、自分にできることならばとその会社に就職。決められたエリアのお宅の前にあるゴミを一軒一軒回り、ゴミを回収していく仕事。普段目にする仕事ではありつつ、身近に仕事にしている人はいないし、お話したこともないので、何だか私にはとても新鮮に感じました。

私の住んでいる地域は、何軒かの家ごとに、決まったゴミ捨て場があり、ごみ収集車はそのゴミ捨て場を回っていきます。
しかし、お兄さんのごみ収集をしていた地域では、ゴミ捨て場はなく、各家庭のゴミは、各家の前に置いておく仕組みだったらしく。
お兄さんは、ごみ収集車の横を小走りで走りながら、一軒一軒のおうちの前のゴミを車に放って回っていたそうでした。元々、サッカー部で、走るのが好きだったこともあり、ゴミ収集の仕事は合っていたし、好きだったとお兄さんは言います。そして、朝学校に行く子供達と挨拶を交わすことが、仕事をしていて何より好きだった瞬間だと言います。

毎日、地域をまわりゴミを集めるお兄さんと、
毎日、自分の配達エリアのお店にお肉を届けるお兄さん。
地域をまわるという要素と、挨拶の雰囲気が私の中で重なり、ふと思い出したのだろうなと思います。


画家のお兄さんの仕事は朝早くから始まり、まちのゴミを集め終わる15時、16時ごろには仕事が終わるそうです。仕事が終わった後は、好きだった絵を描いたり、自由に好きなことをしていたというお兄さん。
そんな働き方や暮らし方もあるのだなあ、と何だか、素敵だなと、お話を聞いていて感じました。


でも、なぜ画家になったのか。

それも、ごみ収集の仕事がきっかけでした。
いつも同じまちの同じお宅を回っているので、子供たちと顔見知りになるようで。
ある時に、ある小学生から”いつもありがとうございます”というお手紙をもらったと言います。それが、とても嬉しかったようで、もっと子供たちにできることはないかと考えるようになったお兄さんは、自分がずっと好きだった絵で何かできないか、子供たちに絵本を作れないかと思うようになったと言います。
それから、絵で生きてみようと、ゴミ収集のお仕事をやめて今に至ったと聞きました。

この話を個展で聞かせてもらった時、お兄さんのあり方を心から素敵だなと思いました。その優しい雰囲気と丁寧さが絵に表れているのだと思います。

きっと、画家のお兄さんの、毎日の挨拶に、元気をもらっていた人がいて、小学生にとっても嬉しいことだったのではないかなと想像しました。
私も、お肉屋さんの元気な朝の挨拶を聞くと元気がでます。

毎日の何気ない挨拶や小さな毎日の姿や在り方が、誰かの、毎日の小さな活力になるかもしれない。


そこまで目立つことはないけど、日々、暮らしの中で、小さくも大切な役割を果たしてくれている人がいる。町に仕事は溢れているけれど、みんなどんなことを考えながら仕事をしているんだろうな、、、と気になった日でした。


休憩時間では書き終えられず、カフェのシフト終わりに書き終えようとしています。乗りたい電車に乗り遅れそうです。急ぎます。今日もみなさんお疲れ様でした^^





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