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【読書】今週の本 8月29日
那珂です。
自宅療養中で、何もすることがなく ひたすら本を読んでいました。
今週は2回にわけて 書こうと思います。
今回は、小説2冊、社会学の本1冊です。
(1冊は、挫折したので、オマケです・・・・)
1. 『鳥は飛ぶのが楽しいか』 チャン・ガンミョン著 吉良佳奈江 訳
韓国の作家による短編集。ここ数年、韓国発の本が話題になることが多くなりました。
『アーモンド』、『死にたいけどトッポッギは食べたい』など、私も年に必ず数冊は読みます。
今回紹介するチャン・ガンミョンさんですが、元新聞記者であり、たくさんの作品を執筆している作家として広く知られているそうです。
韓国の小説と聞くと、何だか身構えてしまう方もいるかも知れませんが、私の印象は「日本とあまり変わらない、というよりも、同じじゃないか?」と感じています。日本では「あいまい」というベールに覆いかぶさってしまっているタブーを、韓国作家は「可視化」させて描きます。
人種格差、男女の格差、都会と田舎の格差、学歴格差、職業格差・・・
一見バラバラに感じる短編が、実は同じコミュニティーで起きていることだったり、人がつながっていたりするわけで。
それも、ドラマティックに「ネタバレ」するのではなく、同じ場所に、同じ時間に、バラバラに生きる人達をレンズから覗き見をするような視点で、繋いでいくのです。
「食っていくために 闘う」〈モッコサ二ムズ〉
闘わなければならない状況に、逃げずに挑む。その先に、希望があるから。
目の前の困難に、怯まず立ち向かう勇気と行動力が 日本の私達には残されているだろうか。
2 『目で見ることばで話をさせて』 アン・クレア・レゾット著 横山和江訳
目で見る言葉=手話 というのは、表紙を一見するとわかりますが、内容は読んでみて驚きます。
手話といえば、このニュースが話題になりました。
「手話」と一口に言っても、様々な種類があるのですね。世界中になると、言語の数だけあると考えてもいいのかもしれません。
日本で使われている手話も、「日本語対応手話」と「日本手話」があります。
今回の訴訟は、幼い頃から「日本手話」で育った児童が、学校で使われている手話が、「日本語対応手話」になってしまい、授業が理解できず不登校になってしまった。等しく教育を受ける権利を侵害された、という内容です。
普段は、英語を使っているのに、突然ドイツ語しか話さないなかに入れられたくらいの違い だとしたら、ものすごくつらい状況にあることは理解できます。
耳の聞こえない人にとって、手話は「言語」です。
この物語の主人公、メアリーの住む「島」は、みんな「声」と「手話」で話します。なぜなら、島民の4人に1人が「ろう者」だからです。だから、手話で話すことは特別なことではないのです。
メアリーの家族は、「聞こえる」母、兄、「聞こえない」父と自分の4人家族。でも、とある事故で、兄を亡くしてしまいます。
そこへ、島の外から若い研究者がやってきます。
調査対象は、メアリーたち「ろう者」だったのです。
アメリカにあるマーサズ・ヴィンヤード島の遺伝性難聴について、私はこの小説で初めて知りました。「村落手話」の一つである「マーサズ・ヴィンヤード手話」という存在があったことも、アメリカ手話に、さまざまな種類があるということも、そして、ワンパノアグ族という先住民族についても、初めて知ったことでした。
私達は、「聞こえないこと」を劣っていると見なしてはいないでしょうか。女の子であること、先住民の子であること、田舎育ちであること、無意識に様々なバイアスをかけて誰かのことを判断してしまっているのではないでしょうか。
この物語は、ヤングアダルト向けなのかもしれませんが、大人が読むことでたくさんの気づきを与えてもらえる一冊だと思います。
主人公のメアリーが、ボストンで経験したことと同じ思いをする子どもが、1人でも減ってほしい。共生とは、バリアフリーとは何かを、根本から考えるきっかけになる良書です。ぜひ、夏休みに読んでみてください。
3 『ソーシャルメディア・プリズム SNSはなぜヒトを過激にするのか』 クリス・ベイル著 松井信彦訳
以前、『ディスタンクシオン』という本をご紹介しました。
「人間の中身(嗜好)というのは、環境が作る」という社会学の本だったのですが、それの現代版といえるかもしれません。
私達の生活に欠かすことが出来ない存在になってしまったSNS。
それによって、私達の「自己」が豹変する。「政治」というトピックによって、過激化し、攻撃的になる「私」が、どのように出来上がっていくのか?
アメリカの分断が叫ばれて久しいですが、なぜあんなにもなってしまうのか。トランプ VS バイデン の選挙戦を思い出してみても、当事者ではない私達でも「後味の悪い、思い出したくない」選挙だったのではないでしょうか。
実は、今でもその戦いはヒートアップしていて、トランプ氏の再出馬が発表されるなど、火に油を注ぐ状況が続いています。SNSを駆使して政権と社会を動かした大統領が、どんな人々に支持されていて、アメリカを分断していったのかがよくわかります。
著者は、その「分断」を埋めるべく、新しいSNSプラットフォームを作ろうとしますが、それはまだ実験段階だそうで、実用化されるかどうかは未知数です。SNSが、「負の感情」をぶちまけて許される場であるならば、憎悪やヘイトが止む素地はなさそうです。
フェイスブック、Twitter、インスタグラム、TicTok など次々に新しいSNSプラットフォームが生み出されていきますが、そこから完全に離脱するためには、「すっぱりと辞める」選択しかないのかもしれません。プラットフォームを移ったからといっても、することは同じだと思うからです。
自分に都合の良い情報に囲まれることを「エコーチェンバー」と言うけれど、ソーシャルメディアを鏡だとするならば、それは正対した像を映すものではなく、歪めて映すプリズムの働きをすると、著者は述べています。
歪んだ事実、歪んだ自己を映すソーシャルメディアを、「正対した像」として理解する危険性は、「デジタルリテラシー」の要素として理解しておく必要がありますが、その中にどっぷりと浸かってしまうと、そこからはい出せなくなってしまいます。
「冷静に社会事象を読み取る」「冷静に、中立的に物事を捉える」ことが、こんなにも難しくなってしまった昨今、「本当の自分」をもう一度見直す「正しい鏡」を自分の中に保つ必要があると、痛感させられた一冊でした。
4 『ピラネージ』 スザンナ・クラーク著 原島文世 訳
すみません、 今、半分くらいまで読んだのですが、
きっと、最後まで読みきれません・・・・
もう、世界観が ダメです。
「アホウドリが〜〜〜」 が、もう、アカン。
ファンタジー って、 向かない・・・・
東京創元社 から出てるから、SF ファンタジーが大好きなガチ勢様、
どうぞ、お読みになって・・・・・
ばったり 倒れたところで、
今回は終了です。
次回は、短歌、詩集を紹介するよ✧
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