【ラフマニノフが弾いたニューヨーク製スタインウェイで演奏しました】
ご覧いただき、ありがとうございます!
ピアニストの吉村直美です♪
スタインウェイ&サンズ・ニューヨークに行った時のこと
です。
昨年、カーネギーホールでの演奏出演に招かれ、ニューヨーク滞在中での演奏でもありました。
カーネギーホールからも徒歩で行けるスタインウェイ・ニューヨークに初めて行った日、
エスコートいただいたスタインウェイ・ニューヨークの方から、
「ラフマニノフが弾いていたニューヨーク製スタインウェイがあるので、是非、弾いてみてください!スタインウェイ・アーティストのみ弾けるグランドピアノがありますので、ご案内します」
とお勧めいただき、演奏させていただきました🎹
※始終カット無しで、一曲お聴きいただけます。
🎹演奏曲について
ラフマニノフ作曲:前奏曲 『鐘』作品3-2 / Rachmaninoff: Prelude Op.3-2
ラフマニノフのピアノ曲の中でも、有名な作品の一つです。
作曲年は1892年と、ラフマニノフが19歳の時でしたが、初版に関しては16歳だったという言い伝えもあります。
いずれにしても、10代で書き上げたとは想像し難いような荘厳さ、激しさが合間った作品に感じられます。
出版当時、アメリカでは、「モスクワの鐘」と題して出版譜が出回っていたそうです。
🎹作品に名付けられている「鐘」とは
何なのでしょうか。
ラフマニノフの出身地であるロシアで根付いているロシア正教会の鐘は、人々の生活に溶け込むように、日々美しい鐘の音を響き渡らせているようです。
ここでの鐘の響きには、様々は意味があり、一般的には「信徒に対する礼拝への呼びかけ」の意味合いが強いそうですが、
状況に応じて「(キリスト受難の)悲しみ」、「キリスト者の喜び、勝利」、埋葬時には「悲しみ、死者への弔い」の意を表します。教会行事以外では、「警告」を意味することも、
あるそうです。
🎹個人的な解釈
個人的ないち解釈ではありますが、
前奏曲 『鐘』作品3-2 では、
鐘の響きにあたる和音は全て(暗い)短調であること、
長いフレーズ感を伴う和声進行がなかなか解決に向かわないことから、
どちらかというと「警告」や「悲しみ、死者への弔い」を意味する「鐘」の音楽を残したかったのではないか、、
と感じます。
🎹スタインウェイとラフマニノフ
祖国を亡命後、最後は、アメリカで過ごし生涯を閉じます。
亡命後は、ピアニストとして大活躍し始め、スタインウェイ・アーティストにも選ばれており、ニューヨーク製スタインウェイピアノの品質変化に貢献したという逸話もあります。
それまで、ニューヨークに行ったことがなかった私にとって、
「ニューヨークと言えば華やか!アメリカンドリームの実現の象徴!」という先入観を持っていましたが、
祖国を離れて移住し、経済のみならず、芸術文化の発展に貢献した巨匠アーティスト達の中には、
「二度と戻れない・・」という悲しみや葛藤も、街の一部となっているのかもしれない、と感じたりしました。
命をかけて作品を創り演奏してきた巨匠の作品には、その深い悲しみにより誘われる共感が呼び覚まされます。
次回の『音楽と旅』リサイタルシリーズはこちらです。
ピアニスト 吉村直美
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