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話し方指導で一番うまくいったのは、総合的な探究の時間でした。

今回は「話し方指導」の第3回目となるのかな?

テーマは「総合的な探究の時間での話し方指導が一番うまくいった」という内容でお送りします。

前回は大村はま先生の話し方指導についてざっくり紹介しましたが、今日も先生の言葉がぐさっと刺さる一言をお伝えしたいと思います。

「言葉の生きた力は、生活の中で自然な、必然的な場で使われることで本当の実力がつくものです。わざわざそのために作った場ではなく、日常の中で実際に必要な場で言葉を使うことが大事なのです。」

さらに、

「できる、できない、わかる、わからない、そんなことを考える余裕もない時間を作り出すことが重要だ」

ともおっしゃっています。この言葉を振り返ると、私が最もこれに近い形で実践できたのは、総合的な探究の時間だったなと思います。そこで今日はこのことについてお話しします。

まずは授業者の話し方

私の日常での話し方指導は、基本的に自分の話し方に気をつけています。

授業中はフォーマルな敬語を使うことが多く、時折方言も混じりますが、基本的には正しい敬語を意識して話しています。私は国語の教員なので、正しい言葉を使って、生徒にも社会で役立つ話し方を身につけてもらいたいという思いが強いです。

実際、私の子どもにも敬語の使い方を特に教えたことはないのですが、日常で私が使う敬語を耳にしていたため、ある日突然、見事な敬語を話すようになりました。やはり日常的に正しい言葉を聞かせることには大きな意味があるのだと感じました。

日常の指導

日常的に生徒同士のペアワークや対話の時間を設け、発言の機会を多くしています。良い発言やコメントがあればすぐに褒めることを大切にしています。発表の機会もありますが、細かな話し方指導よりも、まずは褒めることと、回数を重ねることを重視しています。

今、私は高校2年生に「新書レポート」という課題を出していて、夏休みに読んだ新書について臨番で5分間のスピーチをしてもらっています。このときも、良い発表があればとにかく褒めます。生徒たちは嬉しそうで、褒められることで自信をつけていきます。私自身もこのポッドキャストで話す回数を重ねて、自分の話し方を鍛えています。

中学生にはスライドを使った発表をさせることが多いです。優れた発表をした生徒には、最後に「チャンピオン」として発表してもらいますが、それまでの発表回数を重ねることで、どの生徒も次第に上手くなっていきます。

最も大事なのは聞く力


ただ、最も大事なのは「聞く力」です。大村浜先生もおっしゃっているように、聞くことができないと、話し方をいくら教えても効果が出ません。だからこそ、私は「聞くこと」の重要性を日常的に繰り返し伝えています。

また、話す力を育てるには十分な時間が必要です。2単位の授業では個々の発表の機会を十分に設けるのは難しいのですが、学習指導要領で「話す力を育てろ」と書いてある以上、授業時間や枠組みを見直してもらわないと、なかなか話し方が上達するのは難しいですよね。

評価についてもよく質問されますが、評価を設けてもそれだけでは生徒の力が大きく伸びるわけではなく、褒めることと発表の回数を重ねることが最も効果的だと感じています。


では、話し方が上手な生徒はどのような家庭環境で育っているのか。気になる生徒にはインタビューをしてきましたが、2つの特徴がありました。

まずA子さんの例。家にテレビがなく、両親が「今日はどんな一日だったの?」とニコニコしながら問いかけてくれるそうです。両親は常に聞き手に徹し、A子さんは自然な流れで話す力を身につけていました。この子の話し方は自然で、自分らしさが溢れていました。成績はそこまで優秀ではないのですが、話し方は抜群で、総合型選抜でも合格しました。

次にBくん。この子は「前置き」「山場」「オチ」を自在に操り、話に深みを持たせるのが得意です。家庭ではお父さんが大学教授で、毎日テレビを見ながら「しゃべり批判大会」が開かれているそうです。彼は東京大学に合格しました。家庭での会話が、話し方の上達に大きな影響を与えていることを実感しました。

そういったことから、日常の話し方指導について気をつけながら行っていますが、これまでで最も話し方が向上したと感じたのは「総合的な探究の時間」でした。

総合的な探究の時間での取り組み


この時間では、まずテーマを決めてファーストプレゼンを行い、グループ内で発表し合った後、代表者が全体に発表します。その後もミニプレゼンを何度も繰り返し、回数を重ねることで生徒たちは次第に上手くなっていきました。

中間発表の際は、ペアを変えて50分間で3回ずつプレゼン練習を行いましたが、生徒たちは「3回やったら上達した」と実感し、その後も自信を持って発表を続けるようになりました。

「総合的な探究の時間」では、生徒たちは自分の個性を発揮できるテーマを選び、自信を持って発表することができるため、非常に効果的でした。

発表は仲間同士の信頼関係の中で行われ、評価ではなく自分らしさを活かした発表ができるので、話し方が自然と上達していくのです。

最終的には、選ばれたメンバーが1、2年生の前で発表を行いますが、その時の発表は本当に素晴らしくて、まるで別人のように上手くなっていました。やはり、総合的な探究の時間での話し方指導が一番効果的だったと感じています。

まとめ~必然、自然の場~



ということで、今日は私の日常の話し方指導についてお話ししてきました。今回の配信を通して、もう一度自分の話し方指導を振り返ることができましたし、もっと日常的に効率的な話し方指導を取り入れていく必要があるなと改めて感じました。

やはり大村先生の言葉が心に響きます。

それでは今日はこの辺で。聞いてくださり、ありがとうございました。

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