コーヒーは魔法のはじまり
挽きたてのコーヒー豆にお湯を数滴落とす
この瞬間は 緊張から無になる
そして 待つ 1分くらい
この間 コーヒーに耳を近づけると
小さいけれど くしゅくしゅ いっている
小人たちのささやきみたい・・・
顔を近づける私は たぶん巨人の女
よし と そこから
細い口先のケトルでお湯を注ぎ始める
すると
湿ったコーヒーの粉は
まるで山が育つような姿を見せる
湿った褐色の土が
むく むくり と ふくらんでいく
おお いいねえ
最高にワクワクする瞬間の幕開け
挽きたてのコーヒー豆がつくる山は
魔法が始まる山だ
たくさんのことが
湯気と香りと一緒に吹き出し現れる
あの人 あの時 あの笑い
すべてを自由に取り出せる
この瞬間が わたしのエネルギー源だな
ツヤツヤした綺麗なコーヒーを飲みながら
窓を眺める
雨のときは、すっくと伸びた月桂樹の木が
時折り雨つぶを落とすのを眺め
晴れの日は 波の音を聴きに出ようと思いつく
夕方は 遠くに見えるマンションが
知らない国の崖に建つ集合住宅になる
こうして毎日何度もコーヒー豆をひき
自由劇場が始まると
楽しくなって
目の前の現実は すっと整っていく
マンデリン モカ キリマンジャロ
あれもこれも
暑い国の熱い仕事 すごいよ 赤い実
自分とかけ離れた場所なのに
コーヒーから広がるのは
私の内側の世界に関わることばかり
すごいよ 赤い実
コーヒー色の飲みもの
今日は ゴツゴツに焼いたクッキーをかじろう
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