恋愛小説よりも熱く
男性脳なんじゃないか?時々そう思って生きてきた。学生の頃には女子特有の集団でトイレに行く習慣もアイドルに熱狂する青春もなかった。
初めて買った写真集はジャッキー・チェン。映画【プロジェクトA】の頃。(サモ・ハン・キンポー、ユン・ピョウが出ていた香港警察の話)
アイドルの甘いマスクよりも、体当たりで演じる緊張感あふれる姿に痺れた。友達には苦笑いされたなぁ。トシちゃんやマッチ全盛期の頃の話。
そんな私が好きな小説は、やっぱり骨太のエンターテイメント。男臭さの中に皮肉な真実をチラリと混ぜて、なおかつエンターテイメントらしくスカッと終わる話が好きだ。
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「分からないのか。おまえは、自分が見たいものだけを、自分で都合よく見ているんだ。リンがジャッキーを追い払ったのは卑劣で、自分の支援活動は清いとな。だが、別の価値観を持つ人間から見れば、その構図は同じに見える」
・・・
「天才とは一%の閃きと、九九%の努力の賜物であるーだったかな」
「何ですか」
リッキーに訊ねられて、エジソンの格言を英語で言った。
「彼はとても自信箇条だったそうですよ。その発言は随分謙虚ですね」
そう言えば、彼の格言は誤解されていると何かで読んだのを思い出した。
「本当は、天才的的な閃きがないなら、努力なんてクソだって意味らしい」
「それならエジソンらしい」
・・・
結局のところ、世界は常に、狂気じみた情熱を持った個人によって動かされる。偉人の足跡を見るまでもなく、ビジネスの中でも鷲津は日々それを痛感している。
変革とは、壮絶なまでに一途に突き進む者がいてこそ生まれるものなのだと、確信していた。
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真山 仁【ハゲタカⅣ グリード】の中に出てくる言葉だ。
リーマンショックの前後のアメリカ経済に身をおく投資ファンド社長の鷲津政彦が、強欲の坩堝の中で闘い続ける姿がいい。
世界は経済でまわっている。あまり見たくない、考えたくない世界の仕組みをチラリと見せてくれる小説なのだ。
この本を読むとあたかも賢くなったような、仕事が出来る人物になったような錯覚に陥る。戦国武将の小説を読んだ時も同じ。(なんて単純で、なんて自分で自分の機嫌を取るのが上手いんだろう、と感心するわ)
以前にも【グリード】の事を書いた記憶があるけど、それでも、どうしても熱く語ってしまうのだ。自分にない強さがあるから。
きっと私は、鷲津政彦に恋をしている。
…ん?ならば、私は女性脳なのかしら?(笑)
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