プロダクトブランドとコーポレートブランド
明確な構成になっているか
今回の記事はかなり基本的なブランドの考え方について書いていきたいと思います。今回のテーマはプロダクトブランドとコーポレートブランドについてです。この2つのワードは聞いたことがあると思いますが、今一度整理をしていくと、
プロダクトブランド=製品・サービスの一群を表すブランド
コーポレートブランド=企業体全体を表すブランド
と表すことができると思います。この両者ですが、多くの企業で双方ともに活発なブランディング施策が展開されていることが多いのですが、私が改善する余地があると思っているのが、それぞれの構成、つまり関係性についてもう少し整理をしていく必要があるブランドが多いという点です。どういうことかというと、コーポレートブランドはどちらかというとCSR的な観点で構成されていて、一方で同じ傘の中にあるはずのプロダクトブランドはその要素がほとんど入っておらず、独自のブランドメッセージを発信しているという状態のブランドが多い、ということです。同じ企業が展開するプロダクトなのですから、全体の整合性を取るべきだと考えています。
プロダクトブランドだけでも良い
とはいえ、大きな企業であったり、同じ企業内でビジネスドメインがかなり違う領域での商品・サービスを展開していたりすると、コーポレートブランドはあまりブランディング活動を行わず、プロダクトブランドのみで実施していくというのも間違いではありません。プロダクトブランドがまるで一つの企業体のような捉え方をされ、そのブランドが明確な価値を提供していくような体制を作ることができるのであればコーポレートブランドにこだわる必要はありません。
大切になるのは、そのしょうひん・サービスを通じてブランドメッセージがきちんと構成されているか、という点です。プロダクトブランドは、当然と言えば当然なのですが、商品・サービスにフォーカスしているので、機能性によったメッセージが発信されがちです。その場合は、その機能性や便益を通じてどのような世界観を提供するのかを明確にしておく必要があります。
ブランディング上で難しい局面
実務的に言うと、プロダクトブランドだけでやっていくのが一番実施がシンプルでコントロールしやすい一方で、コーポレートブランドと複数のプロダクトブランドをバランスをとりながら実施していくのが困難な局面を経験することが多いのが実情です。さらにコントロールが難しいのは、各ブランドが展開するビジネスのドメインが全く関係のない場合です。それぞれのプロダクトブランドの軸を通しながらも、それぞれのビジネスドメインで実効性のあるブランディング施策が必要だからです。往々にしてブランドメッセージが歪になったり、逆に対外的に面白みのない総花的なメッセージとなってしまったりします。こうなると事業の優先順をつけながら全体のブランド戦略を再設定していく必要が出てきます。いづれにしても、プロダクトブランド、コーポレートブランドという当たり前の考え方ひとつピックアップしてもブランドを確立していくことには難しい作業だし、注意して進めなければならないということ認識しておく必要があります。