そのブランディング施策は効果があるか
ブランディングは効果が表れないものでない
今回の記事はよくあるブランディング施策の間違いである、「ブランディングははっきりと結果が出ない」という思い込みを正すための内容になると思います。セールスプロモーションやマーケティングといった活動と同様に投下した資本(お金と時間、労力)に対してどのくらいリターンとして帰ってきたのか、をきちんと測ることが大切です。
今回はその方法論と、実際にどのような指標で測っていくのか、という点について説明していきたいと思いますが、まず正すべき考え方は正しいプロセスを踏んで組み立てられたブランディング施策は確実にブランドの資産を強化します。もっと正しく表現すると、ブランドにとって大切だと考えた各要素に対して正しくアプローチできているのであれば、確実に効果は表れるものです。もし、効果が表れないという悩みを抱えていらっしゃるのであれば、それは課題設定が曖昧のままブランディング施策を実施してしまったか、実施後の結果測定を正しくできていないかのどちらかだと思います。
課題設定は適切か
では、まずはどのようにして課題設定をしているか、という点について説明していきたいと思います。ブランドは一口に説明できない性質のものですし、そもそも受け手側の人の心の中もそんなに明確に良し悪しを説明できるようなものでもありません。なんとなくこのブランドが好き、とか、このブランドがしっくりくる、といったフィーリングであることがほとんどです。だから、ブランド好意度(あなたはこのブランドが好きですか?の質問で取れるスコア)一本だけでは、どのようにブランディング施策を展開していいのかも曖昧になるし、もしあまり芳しくない結果が出たとしても対策も打てません。
ブランドの課題設定は、徹底した自己分析とヒアリング、ブランドを構成する要素への分解です。ブランドをどのようなブランドにしたいのか、どのような価値を世の中に提供していきたいのか、という自社の想いはもとより、今いらっしゃるステークホルダーがどのようにブランドを捉えているのかをきちんと把握することです。今どこにいるか、の現時点を把握してないとどのような対策が効果的かを理解するのは難しいです。また、漠然とブランド全体のイメージを追うのではなく、一般的にイメージされる要素に分解していくことです。例えば、先進的とか伝統的などといった言葉で表現されるものです。これらの要素に分解した上で、それらのスコアをきちんと把握することで、自分達が作りたいブランドの世界観で何が足りないか、が初めて分かります。
正しく測定しているか
また、正しく測定できていないこともあります。
というようなことは全くダメです。ブランディング施策を実行してどの要素がプラスになり、どの要素がマイナスになったのかさえも把握しないで継続していく、というのは単なるお金の無駄遣いです。よくブランディングを実施する代理店などはこの手の方が多いので注意が必要です。お金だけ使って結局なんだったのか、というのをうやむやにしてしまうようなことはビジネスではありません。正しくブランドの現時点を把握する定点調査をベースにしながら、各施策のブランドリフトを適宜実行していく、そのような形を基本として当初よりプランすべきです。
ゴールにすべき指標はブランドによっても異なると思います。金額ベースで投資とリターンということを明確にすることもありでしょうし、コミュニティの形成などを目標にする際は別の指標をリターンと見做すこともいいと思います。いずれにしてもブランディングは費用対効果という視点を忘れてはなりません。