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職人集団こそブランディングを。

地方都市における職人という宝

今回の記事は、先日、私が地方都市にブランディング仕事で出かけた際に出会ったとある社長との会話の中で出てきた話をベースにして、職人集団こそブランディングをすべき、というテーマで書き進めていきたいと思います。

先日お会いした社長が営む事業は家具の製造。古くからその地で営まれている産業です。その社長がいうには、

今まではとにかく良いものを作ることだけで集中していたし、職人もそれで良いと思っていた

とのこと。しかし、現状としてどのようなことが起こっているのかというと、モノづくりとしての技能は高く、生み出される家具の品質も一級であるにもかかわらず、家具職人としては稼きはどんどん少なくなってきている、とのことでした。原因を聞いてみると、ライフスタイルの変更などで家具そのものへの捉え方が変わってきていることと、安い家具が大量に入ってきていて、購入な家具が何が違うのかを理解してもらえず、かつその違いを認知してもらえていない、などといったことが挙げられる、とのことでした。

しかし、考えてみると、家具職人の方々が持っている技能や経験は時間をかけて作ってきたものです。今のご時世、当然ながら映像などでモノづくりの基礎やどうやって作業するのか、といったノウハウ的な情報も溢れている。しかし、出来上がりのものは大きく異なる。職人は下積みをへて一人前にならなければならない、という価値観は今の時代にはふさわしくないが、現実として生み出されるプロダクトのクオリティの差は、そのままブランドを形作る重要な要素になっていきます。特に地方都市においてはこのような職人集団が多く存在しています。私はこの方々は日本をブランド化する際には欠かせなくなる「宝」ではないかと考えています。

その技術や制作の姿勢を発信しているか

そんな宝があるにも関わらず、現状はその技術力やモノづくりに対する考え方、姿勢をきちんと発信していないのが現状です。その原因も先ほどの社長によると、職人は面倒くさがって出さないこともあるし、純粋に謙遜してしまって出そうとしないことが多い、ということでした。

私も身近でそのクオリティの高さを実感してきましたが、なんとも言えない柔らかな曲面などは木の温もりと合わさって絶妙な手触りになります。このプロダクトが生活に組み込まれると、生活の質を確実に向上させることができる、そんな技術。それを外に出していないのです。もったいないことです。価値=価格だと仮定すると、伝わっていない価値は過小評価されてしまうわけで、結果として稼げる金額が減ってしまう、ということにつながっていくのです。

体系だったブランディングを

今現在も既にある技術や職人が考えるモノづくりのこだわりなどをきちんとした形で伝えていくこと、それこそがブランディングです。#みんなのブランディング では何度か取り上げているようにブランディングをきちんとした体系の中で整理し、世の中に出していくことが求められています。上記の家具職人集団のような方々は日本全国多くの地方に存在すると思います。本当の意味での地方創生は、正しく価値を伝えることにかかっていると考えています。

地方創生としてお金をかけて何か建物を作ったり、単発の大きなイベントを実施していく、ということではなくて、今こそ、正しくブランディングの実施していくことが求められています。

全国には多くの方々が地方創生ということを旗印に活動されている方が多いと思います。地方自治体の方もいらっしゃると思いますし、職人を抱える企業だったりすると思いますが、地方だからこそ、ブランド化することの恩恵は大きいので、是非とも正しいブランディングを展開していってもらいたいと考えています。

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