令和の分断の時代は「テロとの戦い」が生んだ負の副産物

令和の日本社会を特徴づける「分断」というキーワード。それは、闇バイトや異常な思想といった新たな形の犯罪、そして根強いヘイトクライムによって、人々の間に深まる溝を如実に表しています。これらの問題は、一見バラバラに見えますが、実は共通の根源を持つ、一つの大きな問題として捉えることができるのではないでしょうか。

私は、これらの問題は「ヘイトクライムとの戦い」という枠組みで捉えなおすことができる、と考えています。そして、この戦いは、平成時代に私たちが経験した「テロとの戦い」の負の遺産であると主張します。

平成時代のテロとの戦いは、特定の民族や国籍を持つ人々に対する恐怖と敵意を煽り、社会に深い分断をもたらしました。この経験は、人々の間に「異なる者」に対する警戒心と排除の意識を根深く植え付けました。

令和に入り、テロの脅威は以前ほど顕在化しなくなりましたが、分断の構造は形を変えて生き残っています。かつては民族や国籍が分断の軸であったものが、今は性別、性的指向、思想信条など、より個人に根ざした属性へとシフトしています。

「ツイフェミ問題」や「LGBTQ問題」をめぐる論争は、まさにこの変化を象徴しています。これらの問題の本質は、特定の属性を持つ人々に対する差別や偏見であり、それは紛れもないヘイトクライムです。

闇バイトや異常な思想に染まる人々も、同様に、社会から孤立し、排斥されたと感じているがゆえに、極端な行動に走ってしまうケースが少なくありません。彼らもまた、社会の分断が生み出した歪みの産物と言えるでしょう。

平成のテロとの戦いは、私たちに「異なる者」に対する寛容さを失わせ、分断の種をまきました。その種は、令和の日本社会で花開き、今や私たちの社会の根底を揺るがす問題となっています。

ヘイトクライムとの戦い、それは単に特定の犯罪を根絶させることではありません。それは、私たち一人ひとりが、自分とは異なる価値観や生き方を持つ人々を受け入れる努力をし、多様な社会を築いていくための長い道のりなのです。

私たちはこの問題に目を向け、声を上げ、共に解決に向けて進んでいく必要があります。分断の時代を乗り越え、より良く、より包容力のある社会を築くために。

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