障がいを持つ子の成長時期に合ったサポートを知る
僕には、発達障がいがある子どもがいます。
その子はもう働いているのですが、子どもを社会に送り出すまで育ててみて、気がついたことがあります。
それは、子どもの成長のフェーズごとに『これだけは今やらなければいけない』というものがあるということでした。
具体的には以下のようなことです。
例えば、「親子の信頼関係を構築する」は、就学前に手をつけておく必要があります。
就学前に信頼関係を構築しておけば、就学後の学習や通学に生じた問題を、親子で相談しながらクリアすることができるからです。
逆に「成長のしくみを作る」や「ソーシャルスキルを獲得する」は、就学したあとからでも遅くはありません。
むしろ、どちらも集団生活や本格的な学習が始まった後の方が、進めやすい内容です。
就学以降は、学校や放課後児童デイなどで過ごす時間が増え、親と過ごす時間は少なくなります。
「しくみ作り」や「ソーシャルスキル」がうまくいくと、親が離れている時間も子どもの成長が望めやすくなるのです。
また、中学校卒業後は高等支援学校に入学するケースも多いのですが、多くの高等支援学校には「通学が1人でできる」という条件があります。
義務教育期間に「生活範囲を拡大する」ことで、遠方にある高等支援学校に通える可能性は高まり、進学の選択肢を増やすことができます。
ここに挙げた項目は、自閉症や知的障がいがある子ども想定しています。
そのため、その子の特性によっては当てはまらないものもあります。
ただ、障がいの程度に違いがあっても、育児は「親亡きあとの準備」の一環であるということは変わりません。
「ソーシャルスキル」を例に挙げます。
家族以外の人からサポートを受けるとき、子どもが自分の要求を言葉で伝えられた方が良いのは、間違いありません。
それと同等に、人と接することに慣れていたり、快・不快の感情表現ができるということも、家族以外の人からサポートを受ける上では、重要なソーシャルスキルになるのです。
また「ウェルビーイング(より良い状態)を目指す」ということも、障がいの程度に関わらない育児の目的になります。
充実や幸福といった感情は、体験を通して学習されます。
そのため、「どのように体験の機会を作るのか」を考え計画することは、子どもの特性に関わらず、親の役割として必要になってきます。
成長の到達点は、その子によって変わりますが、「親がいない生活に適応する」「ウェルビーイングを目指す」ためのベースは同じです。
先に示した項目には、そのためのエッセンスが含まれているのだと考えます。
子どもの成長のフェーズに沿ったサポートを行うことで、成長の次のフェーズへの移行を円滑に行うことができます。
それだけでなく、育児にかかるコストの配分も効率よく行うことにもつながります。
育児にコストパフォーマンスを持ち込むことに倫理的な疑念を感じられる人もいるかもしれません。
しかし、親が『何に手をかければ、子どもの幸せを最大化できるのか』という視点を持っていた方が、子どもの長所に目を向けやすくなります。
その上、親自身の時間を捻出することもできるので、親子にとって心地よい関係を築くことにも役立つのです。
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