見出し画像

2.あらすじ①


 まずは、あらすじをご覧頂きたい――。

 主人公は、“国内最大級の動画配信サイト”で細々と活動している動画配信者。
 有名ではないけれど、それなりにファンもいて、他の配信者とコラボなどもし、楽しく活動していた。

 しかし、配信には費用も時間も労力もとんでもなくかかる。
 主人公は配信が心底好きで楽しいからこそ、無名の配信者としてあまり稼げないまま活動を続けていくことに、不安を抱いていた。
 その不安は徐々に焦りを生んで、日に日に募り積もってゆく――。

 一方、世の中では“VTuber”が流行りを通り越して一大人気ジャンルとなっていた。
 個人はもちろん、企業が運営するVTuberグループも乱立し、まさに群雄割拠。
 世はVTuber時代を迎えていた――。

 主人公は思った。
 陰キャの自分は、キャラクターという側を被ったVTuberの方が向いてる気がする……。
 ……VTuber、ちょっとやってみたいな。
 それに、もしかしたら。もしかしたらだけど、甘いかもしれないけど、大きなグループに所属したら何か変わるかもしれない……。
 怖いけど、新しい世界に踏み出してみたい……。
 色んなことに、挑戦してみたい……!
 VTuberになりたい!
 思いは日に日に強くなっていく。

 しかし、主人公は悩んだ。
 キャラクターとして活動を行うVTuberへの転向。
 それは、普通に活動するのならば、今までの活動のリセットを、今のファンとの決別を意味していた。

 主人公は悩んで、悩んで、悩んだ。
 そして、採用されてもいないのにこんなに悩むのもおこがましいと思い至り、試しに大手VTuberグループのオーディションに応募してみた。
 まさか自分なんかが受かるとは思っていなかった主人公だったが、しかし採用され、主人公のもとに合格通知が届く。

 採用されてからも主人公はかなり悩むが、最終的にはVTuberになることを決意。
 ファンに惜しまれながらも、「新しく見つかったやりたいこと」を応援して貰い、それまでの配信活動からは引退する。

 そして、ちょっぴりの期待といっぱいの不安を胸に、主人公は突然の急性心不全で“かえらぬヒト”となってしまった――。