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いやぁ運動って本当にいいものですね――続けたらやっぱり肩こりなどが軽減した話

しかし「運動って本当にいい」なんて、どの口が言うかという話だ。

2カ月前までの私は「体を動かす」とは無縁の運動不足歴20余年。「運動とか、できれば遠慮したいんですが…」という雰囲気を醸し出していた。楽しそうに皇居の周りを走っている人のことは「私とは違う人種」と横目に見るような、そんな感じ。

が、それが一転この2カ月、ほぼ毎日バランスボールで弾んで運動しとるがな。人ってこうも簡単に変わるのか。我がことながら少し怖い。ちなみに「バランスボールで弾むってなんぞ?」という方はこちらの記事をどうぞ。

バランスボールで行う運動は立派な有酸素運動だ。ちょっとした筋トレと一緒に行うと運動効果はさらに上がる。なんとすばらしきかな。

定期的に体を動かす習慣がついたことで、私の体も変化してきた。今回は具体的にどんな変化があったのかをお伝えしたい。

なお念のため言い訳をしておくが、今回実感した変化はあくまで運動習慣によって生じたものであり、私の場合、それがたまたまバランスボールだっただけだ。個人的にハマっているのでバランスボール推しの内容ではあるが、特定の運動のみをもてはやすものではないことは、あしからずご了承いただきたい。

肩こり、肥満、むくみ――オレの三大悩み

さて長い前置きが終わったところで、ようやく本題。万年運動不足の私には、体に関する大きな悩みが3つある。それがこちら。見ているだけでちょっと泣けてくる。

肩こり
肥満
むくみ


肩こりについては月に2~3回、マッサージに通わないとガチガチになるほど重度。いつ頃から始まったかわからないが、かれこれ20年はずっと肩がこっている気がする。肩がこりすぎて原稿が進まないことも多々あった。

肥満についても肩こりと同等の、なかなかの筋金入りだ。その昔、まだそこそこ若かった頃に道で声をかけられたキャッチの男性を無視したところ「んだよ、オマエ!ふざけんなよ!転がったほうが速いような体しやがって!」と毒づかれたことがあるが、その毒づきもあながち間違いではないなと思えるくらいには体が丸い。そしてこれらが相まって、むくみもあった。

が、これら三大悩みがこの2カ月でだいぶ軽減したのだ。

肩の位置を「一番下の、一番後ろ」にして肩こり軽減

バランスボールでは最初に基本姿勢を習う。正しい姿勢で弾まないと、腰痛などの引き金になってしまうことがあるからだ。楽しく弾み続けるためにも基本姿勢は大切だ。

基本姿勢のポイントとなるのは肩、腰、足の位置の3カ所。そのうち肩の位置は「一番下の、一番後ろ」にするように言われる。一番下の、一番後ろとはどういうことかというと、肩をすくめるようにぐるっと回し、ストンと下ろした時の位置、それが「一番下の、一番後ろ」だ。字面だけではよくわからないと思うので、詳しくはわかりやすい動画でも見ていただきたい。

人によっては、やや胸を張るような姿勢になるかもしれないが、じつはこの位置こそが肩の正しい位置なのだそうだ。ちなみに私は最初に肩をこの位置に正したとき、尋常ではなくつらかった。「やや胸を張る」どころの騒ぎではない。というのも、後でわかったことだが私は肩に力が入り、縮こまってしまうくせがあったのだ。肩こりがひどかったのもその影響が大きかったようだ。肩こりは職業上どうしようもないと半ば開き直っていたのだが、じつはそれだけでもなかったらしい。実際、バランスボールに乗っていない普段の生活でも肩の位置を意識するようにしたところ、肩こりがかなり改善した。

肩こりの場所や種類にもよるが、肩の位置を正した時、私と同じような感覚を覚えた人は、「一番下の、一番後ろ」を意識して過ごすだけでだいぶ違ってくると思う。さぁレッツトライ。

負荷少なく、誰にも見られず運動できる、デブにもやさしいバランスボール

肥満についても少しずつ、本当に少しずつだが改善の兆しが見えている。出口の見えないトンネルをずっと歩いていたところ、先にわずかだが明かりが見えてきたような、そんなイメージだ。バランスボールでは弾む際に骨盤底筋と腹横筋(ふくおうきん)を意識する。その影響で、だらしなくぶよぶよしていたおなかがちょっとだけ引き締まり、暗いトンネルに一筋の光が差したのだ。ブラボー。ようし、このまま引き締まれ、私の腹肉よ。

肥満には見た目が良くない、健康にマイナスの影響を与えるなどのデメリットがあるが、そのほかにも医療現場で結構な困りごとになることがある。例えば手術。病気によっては腹腔鏡手術という、切開創が比較的小さく低侵襲(体への負担が少ない)な術式で手術を行うこともできるが、肥満の人は脂肪が妨げになり器具をうまく動かせないため、本来なら腹腔鏡でOKな手術であっても適応にならないことがある。へそのところに穴を開けて行う「単孔式」ならばできるケースもあるが、単孔式の腹腔鏡手術が可能な病気は限られている。というわけで肥満の人が手術をする場合、開腹手術になることが多い。開腹は大きな切開創ができるため、術後の回復に時間がかかることもある(もちろん個人差があることは大前提。あくまで一般論の話)。それに開腹手術でも、厚い脂肪は術者の手を妨げる。手が脂肪でべったべたになるのだという。塊の豚バラ肉を切り分けると手がべったべたになるが、あれと同じようなイメージだろう(実際に手術をしたことがないからわからないが)。手をべったべたにしながら行う手術と、そうでない手術が同じとは、申し訳ないが決して思えない。このように肥満だと受けられる医療が限られる上に、余計なリスクを招くこともある。やはり肥満は可及的速やかに改善すべきことなのだ。

それもあって医師は「運動しなさい」と言う。もちろん、そう言われたデブ自身も体を動かしたほうがいいことはわかっている。だがデブにはできない理由がいくつかある。まず、運動しているところを誰かに見られるのが恥ずかしい。デブは思っている以上に自意識過剰だ。ジムやプールで頑張っている姿を見られるのは恥ずかしいし、走っている姿をその辺で見られるのも嫌だ。「デブ頑張ってんなw」と笑われるような気がしてしまうのだ。加えてデブには体重が重いがために、けがをしやすいという特徴がある。ひざや関節に負担がかかり、せっかく運動しようと思ったのに、かえって悪くしてしまうこともある。そして心も折れる。見事な悪循環だ。

そこでバランスボールの登場だ。バランスボールはもともとリハビリ用に作られた道具であり、関節にあまり負担をかけることなくトレーニングができる。自宅で、省スペースでできるため、知らない誰かに見られずに済む。しかも、そこまでつらくない。むしろ簡単にできるので達成感や快感を覚えやすく、運動を続けるモチベーションを作りやすい。

弾んで、むくみにもさよなら

座りっぱなし、立ちっぱなしなど同じ姿勢をとり続けると血流が滞って、疲れやむくみが生じやすくなる。仕事の効率も低下しがちだ。そんなとき、私はバランスボールに座ってちょっと弾んでいる。そうすることで体はもちろん心もほぐれるので、よいリフレッシュになる。血流も改善し、むくんでいた手足も少し軽やかになる。

私は幸い自宅で仕事をすることも多いため、すき間時間に自在に弾むことができるが、そうでない人は朝晩数分ずつ弾むだけでも違うと思う。凝り固まった体がほぐれるはずだ。

……といった具合に、バランスボールでよい運動習慣がついたおかげで、体の不調がだいぶ改善してきた気がする。「体を動かすと楽しいよ」と言われていたことの意味が苦節ウン十年を経て、ようやく理解できたかもしれない。

人は「病気ではない=健康」と思いがちだが、じつはそうではない。私のように肩こりやむくみなど、病名のつかない不調を抱えている人も少なくないだろう。そうした不調を複数抱えている状態が健康だとは、残念ながら思えない。長年続いていると不調があることに慣れてしまうかもしれないが、それは決して普通の状態ではない。できれば取り除いたほうがいいものだ。そうした不調が、今回の私のようにちょっとしたきっかけで快方に向かうケースもある。

何度も言っているが、自分が続けられるなら運動の種類は、ランでもウォーキングでも水泳でも、なんでもいいのだ。私はたまたまそれがバランスボールだったが、何がきっかけになるかは人によって違うと思う。ただ、運動習慣のなかった人がいきなり運動をしたり、続けたりするのは難しいことも多い。バランスボールには運動経験や体力、体形に関係なく行いやすいというメリットがある。しかも大体の家庭が、すでに持っていることが多い。先日、高校の同級生7~8人とオンライン飲み会をしたが、その時に聞いたバランスボールの保有率はほぼ100%だった。まずはその、家にあるバランスボールでいいので、ふくらませて座り、弾んでみてほしい。なんとなく心地よさを感じられたなら、また気が向いた時に座って弾む…というのを繰り返してみてはどうだろう。

運動の習慣は日々のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)を高めてくれる。この記事を読んでくれた人が、自分なりのきっかけに出会ってくれたら、私もうれしい。

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山本 尚恵 Naoe Yamamoto(医療ライター)
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