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呆れられるので言わなかったけど、会社やめました
うすうす気づいていたと思うが、30代にして14回の転職歴はダテじゃなくて、どこの会社の面接担当者も「コイツまともじゃねえんだろうな」的な悲惨な履歴書をながめながら、「それでもまあ、話した感じはおかしくなさそうだな」みたいな感想はもってくれていたと思う。第一印象の良さだけには定評がある。それと専門性の高い資格が印籠効果となって、ここまでなんとか食いつないでこれたにすぎない。ほんとうに運がいいと思う。われながら。
数十年も社会にいれば、もともと「集団生活も人に指図されるのも管理されるのも人に合わせるのも向いてないんだろうなー」とうっすら自分の性質なんてわかっていたけど、だからといって他に会社員以外の働きかたがわからなかった。
飽き性のわたしはせいぜいひとつの会社で働き続けるのは長くても4年が限度だったし、短いと2週間なんてこともあった。これは働いたうちに入るのか。住みたい場所や働きたい待遇に合わせて環境を変えてきて、自由度や満足度はそれなりにだんだんアップデートされた。資格と好きな業種にめぐまれたおかげで、イヤな場所からは逃げて行きたい場所は自分でえらぶ、の逃げの一手だけで来れたけど、そんな自分に対しても「根性なし」とか思っていたわけではなかったし、どっちかといえば能動的に環境を変えられる「変化に柔軟なところ」は好きな部分だった。
人間にはホメオスタシス(恒常性・変化を嫌う性質)がもともと備わっているので、変わることに対しての不安や恐怖は誰でももっていて、変わろうとすると本能的に命の危険を感じるようになっている。今の安定やしあわせを維持しようとおもうのなんて普通だし、それが正常だ。
これは性質的なものかもしれないが、わたしはこの変わることへの不安が元から少ない方のようなので、今持っているものを失う怖さよりも、今より良くなるのならさっさと変えよう、的な意識のほうが強かった気がする。
そんなかんじでサーファーがまるで荒波をうまいことかわして乗りこなしているかのように、自分としてはまあまあうまく抜け道を通りながらやってこれていたと思ったのだが
それにしても2020年ごろからは明らかに、なにかがちがっていた。
わたしは組織に属する会社員としては本格的に不適合になりつつあった。
いままでは組織の中に属しても自分のテリトリーやペースを守りつつなんとなくやれていたことが、この頃からなんかうまくできないのである。
なんかおかしいな。
いままではこのくらい、やってこれてたはずなんだけど。
どうやっても合わせられないし、明らかに周囲の人とも会話が噛み合わない。そして無意味だとか、イヤだと思ったら少しもがんばれないのだ。
しかもたぶん、前はそんなに苦痛に感じていなかったようなささいなことでも。
とてもじゃないけど8時間も拘束されて机に座っているなんてそんな拷問のような時間に耐えられないし、週5なんて長すぎて働けない。前までどうやってそんなに長く働いていたんだかさっぱりわからない。
ひとつ前の会社から、勤務時間は週4にしたし、人混みに押されながら電車で通勤するのも耐えられなくなったので、わざわざ会社に自転車で行ける距離のマンションを探したりした。
そうやって意図的に自分と周囲との距離を図って、自分のペースを守ろうとした努力もほとんど意味はなく、結局は1年足らずでくたくたになって田舎に引っ越したのだけど。
最後の会社にいたっては、フレックス制で好きな時に好きな場所で働けばいいので一週間家から出ないこともあったし、行ったとしてもほとんど自分ひとりしか使わない事務所で、誰とも接しずにPC作業だけして帰ったりしていた。自分で全部スケジュールは取り決めて、短時間で終わらせることもできた。体感ではほとんど働いている気がしないまま1年ちょっとすぎた。
それでも、働けて1年くらいが限界なのだ。
ここまで自由度を上げても、それでもそのくらいしか働けないのだとわかったとき、今度こそ
「あーもう会社員やるのムリなんだ」と心のどこかが降参した。
そもそも仕事内容がぜんぜんやりたくなくなっていた。
こんなに自由に働かせてもらっておいて、働きかたになんの不満があったわけでもなかった。
仕事がぜんぜん楽しくなくなってしまって、たんなる生活費を稼ぐためのつまらない行為に成り下がっているからだった。
わたしにとってはその方が、絶望的にショックだった。あんなに好きだった仕事なのに。
そんな、やっつけ仕事のようにしてこなしているモチベーションの中、研修とか、会議とか、およそ必要性を感じられないことに自分の貴重な時間を費やすこととか、拘束されることとかが、信じられないくらい苦痛なのだった。
まえまでのわたしなら、仕事がそもそも好きだったので仕事を早めに切り上げて研修に参加したり、地域の人たちとの意見交換会なんかも楽しみだったのに。
もう楽しくなくなってしまったものを、どうやったらまた楽しくできるのかぜんぜんわからなかった。
なんとなく誤魔化しながらうまくやりつつ、イヤなことも自分に我慢させつつ「このくらいなら仕方ないか」とかなんとか思い込ませながらやってこれたのかもしれないんだけど、
セルフラブ習慣のおかげでわたしは自分に我慢をさせることや、なにかの制限の中でやりたくもないことをしなければならない環境が許せなくなってしまったのだと気づいた。
(セルフラブについてはマガジンをごらんください。)
これからどうするかは正直なにも考えていないのだけど、仕事を辞めて2日だし、しばらくは開放感に浸りたいと思います。