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充電式で、生きていく。双極性障害の暮らし【13】家族2
今思うと完全にうつ状態で頭が回っていなかったせいもあるが、家族には突っ込まれてすぐにばれた。
普段滅多に実家に帰らないので、「○○の書類?なんでいま必要なの」などいろいろ訊かれてしまったのだ。
そういう時に、親に嘘をつき通せる性格でも体調でもなかった。
通院し始めたこと、双極性障害であること、自立支援を受けることを告白すると、
「親戚の○○さんのとこの△△さんもその病気みたいだよ」と言われた。
親のきょうだいの話ではなかったのと、自分が普段やり取りの無い人の話がいきなり出てきて驚いた。
話を聞くと、暴れたり行動が激しかったりと大変そうだった。権威のあるお仕事をされている方なので「へぇ、そんな人も双極を患っているのか…」と驚いた。
私の病状については、それほど突っ込まれることはなかった。激しいケースを聞いていたので、家族にしてみれば「聞いてたより普通だな…?」と感じたのかもしれない。
その後、家族はいろいろなところへ連れて行ってくれたりした。仕事を休むまではかなり忙しく、家族と大きな公園や博物館に行ってのんびりするなどということは無かった。
あちこち連れまわしてくれる家族はとてもあたたかく、ありがたかった。
時々は実家にも帰り、食事をしたり散歩したり、猫をなでまくったりしていた。
家族と過ごすときは体調も良く、昔実家で過ごしていたような雰囲気だった。
病気や体調についての話は、あまりしなくなっていた。
病気が分かってから2年半ほど経ったころだろうか。年末に実家に帰った時のことだ。
ふとしたはずみから病気の話をすると、「もう治ったんじゃないの?」と驚かれた。
つい「治らないんだよ」と返すと、さらに驚かれた。
ショックを与えてしまったと後悔したが、現状寛解もできておらず、予防やコントロールがずっと必要な病気なのは確かだ。
その時は、「やばい」と思ってすぐほかの話に移してしまった気がする。
何をどう話せばよかったのかは今もわからない。
ただ、何を言っても家族を安心させることができる気がしなかった。
それから、病気の話は家族とも時々するようになった。
体調のこと、職場ではいろいろフォローしてもらっていること、自助会に行き始めたことなど。
すべてを話したわけではないが、少しずつ話していった。
そういった話を家族がどう思っているかわからない。傷ついているかもしれない。
が、家族の親友がうつ状態になり、その相談に乗ったことで、家族の反応も少し変わってきた。
親友に対してどう接したら良いか困惑している家族は、私の話を聞いて少しすっきりしたようだった。
アドバイスというほどのことはしていないが、私の話も家族から親友に伝えて、徐々に体調も落ち着いてきた。
そう聞いて、安心もしたけれど、家族の親友が羨ましかった。
「やっと治ったよ」
ほんとうは、いつか家族にそう報告したい。
だけど、可能性としては難しい。
普段は治らないことを受け入れているつもりだけど、こうやって文章を書きながら考えていると、まだまだだなと感じる。
治らなくても、寛解できなくても、コントロールが上手になっていけば「落ち着いてきた」くらいは言えるのかな、と思っている。
やわらかい言い方で伝えられたらいいな、と思う。