「利他」のハードルは、実はそう高くない
自慢じゃないが、人生の前半は、身勝手に、利己主義を貫いて生きてきたわたしである。
生活も教育も不自由なく育ててもらったし、末っ子で、下に面倒を見なければいけない存在もいなかったから、「自分の望みは我慢して誰かのために」といった状況に置かれたことがなかった。
とはいえ、愛情あふれる家庭で甘やかされて育ったかというと、そういう感じとも少し違う。
10代の多感な時期、両親ともに多忙な企業戦士だったから、家の雰囲気はいつもどこかピリピリしていた。
同居していた祖父母も、穏やかに余